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次に、冷蔵・冷凍コンテナなど、舶用冷蔵冷凍機に使用される冷媒の転換について考える。短期的対策で述べたように、代替フロンはオゾン層破壊防止に対しては満足できる性能があるが、温室効果の面では高い環境負荷を有している。

特に、利用環境の厳しい冷蔵・冷凍コンテナにおいてメンテナンスなどにより漏洩量を極小にするには大きな労力が必要となることから、今後はさらに環境負荷の低い冷媒の開発が必要となろう。現状では冷凍能力不足とされているものの、アンモニア及びプロパンやブタンといった炭化水素、そして二酸化炭素など、温室効果が比較的低い若しくは無い自然冷媒の使用により、代替フロンの使用を抑制する方策も考えられる。既に、アンモニアについては過去に舶用冷蔵冷凍庫での使用実績があるが、弱燃性や毒性などの問題があることから、今後冷蔵・冷凍コンテナでの実用化に向けた技術開発が望まれる。

さらに、タンカーでは航行中のCH4の回収による排出削減も可能性がある。吸着自体は活性炭等で可能であるが、長時間に渡って吸着可能な基材の開発とカートリッジの小型化を中心にした実用化が課題になると考えられる。

 

4] 評価

中期的削減方策では、削減効果の定量的な予測が困難なものが多いため、1]の燃料転換とマイクロバブル技術の導入効果についてのみ定量的な効果を検討した。

表7.2-1の対策4がその結果である。これによると、単独効果として、第1評価基準である輸送エネルギー効率には3〜4%の向上が期待される。一方、CO2排出量については、ゼロオプションに対しては-6%という削減効果が予測されたが、2020年の排出量は1997年に比して30〜70%の増加とり、第2評価基準のレベル到達には不十分であった。また、減速航行を除く短期的方策と組み合わせた場合であっても、2020年のCO2排出量は1997年に比して25〜60%増加すると予測された。従って、短期及び中期的な削減技術だけでは第2評価基準の達成には不十分であると予測され、以下に述べるような長期的対策を推進していくことが必要であるものと考えられた。

 

 

 

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