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7.1.3 外航船舶の運航に伴うCO2以外の温室効果ガスの排出

外航船舶の運航に伴いCO2以外の温室効果ガスも排出される。京都議定書ではCO2以外の温室効果ガスとして表7.1-6に示す5物質が削減対象とされた。このうち、外航船舶の運航に伴いある程度の排出量が予測されるのは、CH4、N2O、HFCsの3物質である。

本調査では、CH4、N2Oに関する実船での排出濃度測定結果などをもとに、外航船舶の運航に伴う排出量を推定した。このような試算は世界でも今まで例がなく、今回初めての試みである。一方、HFCsについては、冷凍・冷蔵コンテナ数やそれに使用されている冷媒の世界的な供給量は統計資料が存在しないため、漏洩量あるいは排出量を正確に見積もることはできないが、聞き取りなどをもとに一定の仮定のもとで排出量を概算した。

 

表7.1-6 CO2以外の温室効果ガスの主な排出源

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これによると、CO2換算でみた場合、上記3物質合計で外航船舶から排出される温室効果ガス全体の4%程度になる可能性があると考えられた(表7.1-7)。とりわけHFCsについては、モントリオール議定書対象物質の削減前倒しによる代替フロン使用量の増大と、加工食品輸送の増加により冷蔵・冷凍コンテナの流通量が今後大きく伸びる可能性があることを考え合わせると、将来の排出量は相対的に増大する可能性が大きく、その排出量の正確な把握及び削減方策検討が今後一層重要な課題になるものと考えられる。

以上の結果、排出量はCO2に比較して小さいものの、CO2以外の3物質についても適切な措置を講ずることにより、外航船舶から排出される温室効果ガスの数%が削減可能であると考えられる。なお、積み荷時、揚げ荷時に原油ガスとして排出されるCH4や、冷凍・冷蔵コンテナの陸上での輸送中及びメンテナンスの際に漏洩するHFCsの排出量を「外航船舶の運航に伴う」排出量と考えるべきかどうか慎重な検討が必要であろう。従って、これらの排出量算定ならびに対策のあり方などについては、陸上側との調整及び協調が必要である。

 

表7.1-7 外航船舶の運航に伴う温室効果ガス排出概算値(1997年ベース)

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CO2以外の3ガス排出量は試算であり、また港湾荷役時あるいはふ頭上での排出量を含む。

 

 

 

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