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5] CPP(Controllable Pitch Propeller)

プロペラの翼角を変化させるもので、主機関を燃焼効率の良い一定速度で回転させたまま翼角を変更する事で推進力を変化させることが可能で、逆転も可能なため主機関の逆転機構が不要である。また、停船や微速時にも主機を運転させたままでよいことから、停船操作の多い高速フェリーなどに用いられている。実用化技術であり、数〜10%程度の輸送エネルギー効率の改善が見込まれる。イニシャルコストがプロペラ付加物に比較してやや高くなる。しかし、本来操船性を高めるたためのデバイスでありその輸送エネルギー効率の向上は小さく、一定速度で長距離を航行する外航船舶に対して適しているとは言えない。

 

これらプロペラ推進技術についての特徴を表5.1-3にまとめた。PBCFは小型船舶から大型船までの適用が可能である。船体本体価格のおよそ10%未満のコストでレトロフィットが可能であり、その省エネ効果は平均して5%程度は見込まれると予想される。二重反転プロペラは大型低速の機関を得意とする。またCPPは4サイクル機関との組み合わせで高速かつ機関スペースに制限のあるRORO、PCCなどでの使用が適していると考えられる。

 

表5.1-3 プロペラ推進効率向上のための各種技術の適用試算例

102-1.gif

長さ240m、Cb値0.80のタンカーへの適用計算例

Marine Report No.23 1996年6月より作成

 

(6) 舵の改良

舵は通常プロペラ推進装置では必須な装置であるが、それ自体が抵抗となって船体の摩擦抵抗を増加させる。プロペラの回転により生じた旋回流を受けるため、プロペラ回りには複雑な水流による圧力及び横圧力が発生する。従来から舵に当たる水流の抵抗をできるだけ少なくすること、水流に対する舵の効きを良くすること、回転流のエネルギーを推進力に転換させること、などを中心に技術開発が進められてきており、コスタバルブラダー(舵の側面にバルブ状のふくらみをもたせる)、ベッカーラダー(飛行機のラダーのように先端で角度が急峻になる)、フィン付きラダー(舵前方部分に水平状のフィンを取り付ける)などが開発されているが、実用例が少なく、現時点ではその省エネ効果を検討するのは困難と思われた。

 

 

 

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