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2] PBCF(プロペラボスキャップフィン)

1987年に開発されたPBCF(プロペラ・ボス・キャップ・フィンズ)は、プロペラの先端に取り付ける比較的簡易な手法であるが、プロペラの推進効率を高める効果が大きい。プロペラの回転流は中心部に渦状の低水圧部分が生じる。この低圧は船体を後方に引き戻す抵抗(ハブ渦エネルギー)となり、高速船ほどこの傾向が大きい21。PBCFの採用により、同じ主機関負荷で1〜2%のスピード上昇もしくは同じ航海速力で4〜5%の燃料消費量節減が得られる。また、取り付け時間も半日程度で、この種のレトロフィット技術としては短時間で済む。これまでに700隻を超える船舶に採用され、大型船では韓国で竣工したLNG船4隻から小型の高速漁船にまで設置されており、適用範囲も広いと考えられる。

 

3] ダクトプロペラ

プロペラを円筒形のノズルに収めたもので、放出流が収束され高速となる。小型ノズルプロペラには旋回できるもの(ポッドプロペラ)もあり、この場合は舵が不要となる。船体起振力に対してはノズルそのものが抵抗となるため、若干有利になると言われる。ダクトプロペラはダクト内面のエロージョン(潰食)が生じ易いという欠点がある。80年代に大型タンカーへの設置例もあるが、主にコストの面から現在では小型船への設置に留まっている。ダクト位置をプロペラの前後に設置するなど最適化することで今後大型船への適用も充分に考えられる。長期的には電気推進とあわせたポッドプロペラが有効であるものと思われる。

 

4] 二重反転プロペラ(コントラプロペラ)

二つのプロペラを前後に配置して互いに逆方向に回転するようにしたプロペラ推進装置であり、前方のプロペラ後流中の推進に寄与しない回転成分のエネルギー(旋回流)を後方のプロペラで吸収できる省エネルギー型のプロペラである。二つのプロペラで主機の推進力を分担するので、プロペラ径が小さく済むという利点もあり、大型コンテナ船へ応用することで一軸船の船型の限界を大きくすることも期待されている。26万DWTのタンカーなどに設置され、14%の省エネ効果が確認された例もあり、信頼性も充分確保できると考えられる。ただし、逆転機構や軸受けの構造が複雑になることからイニシャルコストが高く、スペースユーティリティの面でやや不利とされているが、大型コンテナ船で2軸とするよりも、コントラプロペラを用いた一軸船にメリットがある場合も考えられる。

また、本来の二重反転プロペラではないが、主機直接駆動の主プロペラ直後の同軸の位置に主プロペラと逆回転のポッドプロペラを物理的結合なしに設置するシステムも提案されている。この逆回転ポッドプロペラシステムは、巨大コンテナ船の推進効率を10〜15%高める効果があるとされている。

 

21 日本船用機関学会誌 第27巻第9号抜粋 平成4年9月 PBCFの効果と実績

日本船用機関学会 第一研究部会資料 PBCFの研究開発―プロペラ後流調査及び実船性能について

 

 

 

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