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次に外航船舶の輸送エネルギー効率の例を図5.1-5に示した。同データは、図5.1-4に示した内航船舶のデータとは異なり、運航業者へのアンケート調査によって得た輸送トンマイル、燃料消費量の実績値より算出されたものである。

外航海運では、自動車運搬船を除くと概ね0.005kg-Fuel/トンマイル以下となっており、内航海運よりも輸送エネルギー効率は良くなっている。船種による違いをみると、タンカーが最も効率が良く、コンテナやPCC船(Pure Car Carrier)の輸送エネルギー効率に比較してはその数分の1程度であることがわかる。これは、タンカーが輸送する貨物が液体のため、たとえダブルハルであっても船倉内のデッドスペースが少なく、かつ経済運航速度(slow steamingを行うなど)で運航されることが多いことに対して、コンテナ船ではスケジュールを優先し、高速運航されている場合が多いことに加え比較的容積当たりの重量が軽い製品輸送の頻度が多いこと、PCC船は輸送される自動車の体積当たりの重量が軽く、復元性確保のため常時バラスト水を積んでいることなどを反映しているものと考えられる。

さらに、1.4.1で述べた外航船舶の燃料消費量推定値から算出されたマクロな輸送エネルギー効率も表5.1-2に示した。ここでは、4.1で紹介した各船種ごとの輸送総量と年間燃料消費量から計算される世界全体での平均的な輸送エネルギー効率として捉えた。

外航船舶の平均輸送エネルギー効率である0.0053kg-Fuel/トンマイル(トンキロ当たりのCO2量に換算すると9t-CO2/トンキロ)は、表5.1-1に示す鉄道輸送の1/2、営業用トラック輸送の1/22となり、輸送機関として優秀である事が理解できる。

 

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図5.1-5 外航海運における輸送エネルギー効率(RT)の実績例

シップ・アンド・オーシャン財団(1992)「船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」、環境庁(1992)、「船舶排出大気汚染物質削減手法検討調査」より作成。

 

 

 

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