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タンカーでは、現在高船齢船の占める割合が比較的高いため、2000年代前半に代替のピークがくる。このため、lower caseでは2000〜2010年の間は輸送総量の伸びを上回る輸送エネルギー効率の向上がおこり、1997年よりもタンカーの燃料消費量及びCO2排出量は一時的に削減される。その後は代替効果が小さくなるため、長期的には燃料消費量及びCO2排出量は増加に転ずる。upper caseの場合も同様の傾向はあるが、輸送総量の伸びが大きく、1997年を下回る期間はごく短い。

バルカー及びコンテナ船については、タンカーに見られるような高船齢船への分布の偏りがなく、輸送総量の伸びが高船齢船の代替に伴う輸送エネルギー効率の向上を常に上回るため、短期的にも、長期的にも、燃料消費量及びCO2排出量は単調増加するものと予想された。

この結果、外航船舶全体の燃料消費量及びCO2排出量は、lower caseで2010年で20%、2020年では38%、upper caseで2010年で44%、2020年では74%(いずれも対1997年比)の増加となるものと予測された。

2020年における1997年に対する燃料消費量及びCO2排出量の伸びを船種別構成比で見ると、タンカーはlower caseでは11%、upper caseでは38%、バルカーは両caseとも33%、と1.5倍弱の伸びを示したのに対して、コンテナ船の2020年における1997年に対する燃料消費量及びCO2排出量の伸びは、lower caseでは64%、upper caseでは134%と大きな伸びを示している。その結果、1997年時点ではタンカー、バルカー及びコンテナ船の排出構成比率は、それそれ28%、30%、36%と各々1/3を占めていたのに対して、2000年ではlower caseにおいて各々23%、28%、43%を占め、upper caseでは各々23%、28%、48%を占め、コンテナ船からの排出量がおよそ半数を占めることが推定された。これはそれぞれのcaseともに、コンテナ貨物の輸送総量の増加割合が、他の貨物の増加割合より大きいためである。従って、コンテナ輸送に伴う燃料消費量及びCO2排出量が、将来の削減のためには重要である。

 

 

 

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