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4 調査結果の概要

 

4.1 外航船舶からCO2排出量の推定

タンカー及びコンテナ船については船型船齢ごとの年間運航日数・年間運航距離などのデータを基に新たな運航モデルを作成し、より実態にあったCO2排出量推定モデルを作成した。これによって推定された1997年のCO2排出量を船種別にみると、タンカーは105×106t-CO2/年、バルカーは111×106t-CO2/年、コンテナは135×106t-CO2/年であり、3船種の排出割合はおよそ1/3ずつとなっていた。また、3船種のCO2排出量の合計値は351×106t-CO2/年であり、これは1997年のバンカー払い出しから別途推定された外航船舶のCO2排出量(375×106t-CO2/年)にほぼ見合う値となっている。

 

4.2 外航船舶の運航に伴うCO2以外の温室効果ガスの排出量に関する調査

4.2.1 原油タンカー荷室内のCH4濃度の測定等

原油輸送の工程は、原油積み込み時、原油揚げ荷時、原油輸送時、バラスト航海時の4フェーズに分けられ、原油積み込み時に最もCH4排出が多いことが予想された。

原油積み込み時における、荷室内のイナートガス圧力及び原油ガスの挙動についてモデルを作成し、実測値とほぼ合うことが確かめられた。その他の文献値などを用いたモデル計算から推定した運航フェーズ毎及び機関からの排出量を表Aに示した。ただし、荷役時における排出について外航船舶の運航に伴う排出量として取扱うべきか否かについては、今後陸上側との調整も含めて検討するべきであると考えられた。

 

表A 1997年における外航船舶の運航に伴うCH4排出量

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4.2.2 排ガス中のN2O濃度の計測

機関排ガス中のN2O濃度測定を実船の機関で行った。測定結果から、ISO8178モードに基づき計算される排出係数を表Bに示した。この値は、自動車用ディーゼル機関における値を基に設定されている従来のIPCCの設定値(80mg/kg-Fuel)に比較して大きく、その理由として、燃料中のN分が一部不完全燃焼による酸化により排出される可能性などが示唆された。

 

表B 実船計測により得られたN2Oの排出係数

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