I. 調査の概要
1 調査の目的
1997年12月の地球温暖化防止京都会議(COP3)において、温室効果ガス(CO2等)の削減についての基本合意がなされたものの、船舶から発生するCO2等の温室効果ガスについては、船舶の特殊性(国際航海における規制の複雑さ、便宜置籍船制度など船舶運航の制度的特殊性など)に鑑み、排出削減の方策について国際海事機関(IMO)で国際的に検討することとされた。
そこで、本研究では、これまで実施してきた船舶からのCO2の排出量の調査を踏まえてその後の社会情勢変化等を勘案した調査を行い、更に、CO2以外の温室効果ガスについても船舶からの排出量を調査するとともに、それらの調査結果をもとに、船舶から排出される温室効果ガスについてどのような削減策を講ずればよいかについて、技術的、社会経済的、政策的な観点を含め、総合的な調査検討を行うものである。
このような調査により得られた結果は、地球規模でのCO2等の排出量の削減に向けての国際的な枠組み、方法論、国及び民間機関の国際的協力体制、その他の有効な方策としてまとめ、我が国政府、IMO等の国際機関に対する提言として提示するとともに、国内外の関係各方面にも情報を発信する。
これにより、我が国における環境問題に対する社会的取組みに貢献するとともに、地球環境問題の解決に向け国際的検討に寄与することを目的とする。
2 調査の経過
調査の実施経過は以下のとおりである。
平成12年
7月17日 第1回「船舶からの温室効果ガス(CO2等)の排出削減に関する調査研究委員会」
9月30日〜10月8日 国際海事機関第45回海洋環境保護委員会に出席。プレゼンテーション実施及び温室効果ガスの排出対策等に関する動向を調査。
12月1日 第2回「船舶からの温室効果ガス(CO2等)の排出削減に関する調査研究委員会」
12月1〜10日 内航タンカーにおいて、排ガス中の亜酸化窒素(N2O)及び荷室内イナートガス中のメタン(CH4)等を計測
12月11〜18日 内航貨物船において、排ガス中の亜酸化窒素(N2O)等を計測
平成13年
1月16日 船舶からの温室効果ガス(CO2等)の排出削減に関する調査研究検討会開催
2月5〜9日 国際海事機関第6回ばら積液体と気体物質に関する小委員会に出席。プレゼンテーション実施及び温室効果ガスの排出対策等に関する動向を調査。
6月15日 第3回「船舶からの温室効果ガス(CO2等)の排出削減に関する調査研究委員会」