日本財団 図書館


造舶Webの所掌範囲は、情報表現形式と交換規約を策定し企業間の情報交換をサポートするところまでであり、データ活用に向けた社内の仕組み作りは参加各社の所掌である。交換データの社内再利用促進というステップ2のレベルを達成するために、参加各社では以下の取り組みを行う必要がある。

・造舶Webシステムと社内システムとの接続

・電子的交換により入手したデータを、転記・再入力することなく設計他関連各部門で再利用できる業務の仕組み・システムの整備(社内ワークフローの整備)

2章において、造舶Webの業務施策14テーマについて具体的な効果を整理すると、「業務の連結」と「情報の共有化」の二つに大別できることを述べた。この2つの期待効果を現実のものにするためには、企業間の情報の電子的交換だけでなく、社内の情報フローをスムーズにする先の2要件に対する取り組みが不可欠である。

さて、ステップ2における最大の効果は、情報の迅速かつ確実な伝達による社内部門間・業務間の連携改善である。

造舶Webを通じて入手した交換データをインプットとして、それを関連部門で多重的に利用できる業務及びシステム環境を整備することにより、データ転記・再入力等の人手作業が不要になる。また、人手の介在を排することで、業務処理のスピードや正確性の向上や、迅速なフィードバックによる状況変化への柔軟性向上を期待することができる。

造船所・舶用機器メーカにおける期待効果の例を以下に挙げる。

[造船所]

・メーカカタログデータと自社見積システムとの連結による、見積業務のスピードアップ

・設計部門間、または設計部門と関連部門(管理、業務、工作、品質管理、資材等)との工事図ほか艤装品に関するやりとり(情報配付とフィードバック)の効率化

[舶用機器メーカ]

・注文仕様書等の要目や図面データの再利用による納入仕様書作成の効率アップ

また、造舶Webでは、Adobe社製ソフトウェアAcrobatの注釈ツールを活用した電子朱書機能を提供する。図7-3に電子朱書機能の活用イメージを示す。この電子朱書機能により、仕様書その他図書の確認作業のスピードアップと、相手方へのコメントの確実な伝達を実現することができる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION