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3.2 他産業における高度情報化の事例紹介

3.2.1 COVISINT

自動車産業界のグローバルSCMの事例として、「自動車業界の共同マーケットプレイス、COVISINT」を紹介する。

COVISINTは、自動車産業のB2B実現のためのビジネスプレースで、2000年秋に米国独禁法調査をパスして、造舶Webと同様に2001年にはいよいよ現実のものとして動き出すことになった。

COVISINTは、ダイムラークライスラー、フォードモーターおよびゼネラルモーターズと日本の日産とフランスのルノーなどの自動車メーカ(OEM)5社を中核として、AKスチールやBASF、デンソーを始めとするサプライヤ19社、およびベンダとしてコマースワンとオラクルの2社、並びにテクノロジー提供の3社を加えて発足された国際的なeMarketplaceである。

発足時の資本は、中核5社とコマースワン、オラクルの計7社により出資された。

COVISINTは、米国ミシガン州に一時的な本社を設置しており、欧州およびアジアにもオフィスを設置する計画である。

また、COVISINTは2001年1月に12人のボードメンバを選出した。12人のボードメンバの中には、COVISINTの設立パートナー5社のうち、フォードモーター、ゼネラルモーターズ、ダイムラークライスラーからはそれぞれ2人、ルノーからは1人が選出されている。しかし、日本の自動車メーカとして唯一の設立パートナーである日産自動車からは、12人のボードメンバには選出されていない。自動車メーカ以外では、米Delphi Automotive Systems社や米Johnson Controls社、米Lear社、Magna International社といった大手部品メーカ等から選出されている。ボードメンバは最終的に17人になる予定で、残りの5人についても現在選出中である。

COVISINTは、よく知られている後述の米国のANXが専用ラインでつながっているのと違い、インターネットをインフラとして、すでに稼働しているそれぞれがオーナーの座を占めるSCMであるフォードのオート・エクスチェンジとGMのトレード・エクスチェンジの、両者の長所をマージしたものである。COVISINTが動き出したら、これらエクスチェンジの関係者は、順次吸収していく計画になっている。

COVISINTのメニューには、バイヤーとサプライヤそれぞれのオークションやカタログ検索サービス、電子見積もり等の機能を備えた電子調達や3DCADのやりとりを含めた製品開発情報交換等の製品開発資料提供サービスがある。このeMarketplaceでは、自動車企業とサプライヤはWinWin関係であることが強調されている。

 

 

 

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