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館主の大場先生は、

「学校では教えられない礼儀作法などを、道場で教えているんだ。」と仰っています。つまり私達剣道を学ぶ人間はこの点において学校や塾にしか行かない多くの人々と比較し、非常に恵まれていると言え、そしてこの事は大変幸せな事であると思います。

私は純正館に通い、剣の道を修める中で、「継続は力なり」という言葉も教えられました。物事を続けるとそれは必ず自分の身につく、という事です。道場にしても、学校のクラブ活動にしても、殆ど顔を出さず向上心も持たずにいる人がいます。私は事情の有無に関わらず、剣道をやると決めた以上はしっかり稽古をし、そこでの決まりを守る必要があると思います。しかしどこへ行ってもやろうとした事の長続きがしない人はいて、私はそういった人を可哀相に思います。恐らくその人は自分が始めた事をやり通すように教えられず苦しい事から逃げ続けて来たのでしょう。私はこのような人達に剣道を学びその楽しさや厳しさ、考え方を知り自らの意識を変えて欲しく思います。

もう一つ剣道を通して私が得る事の出来た物として体力がついた、という事があります。最近の人々は昔に比べ極端に体力がありません。体を動かし鍛える事は生物学上でも非常に大切であり剣道はその効果が良いと言われています。

剣道にはこれらの他にも、様々な素晴しいものがあります。稽古によって得られる爽快感や試合での苦しさや楽しさ。多くの少年犯罪が横行し人々のモラルの低下が強く叫ばれる今日の世の中で私はより多くの人々に剣道やその他の素晴しいものを経験して欲しいと思います。また自分が剣道を通して得られたものを世に広め、剣道の良さを分かって戴くと同時に人々に意識の改革をして欲しいと思います。

私は、これからも一生、剣道の修業を積み重ね将来立派な人間になれる様稽古に励みたいと思います。剣道は本当に素晴らしいです。

 

『孝道』

 

愛知県西加茂郡

学運堂近藤道場

中学三年生

中川奈菜

 

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「お母さん、今日も剣道行くの?」と、弟。

「そうだよ。おりこうにお留守番していてね。」と、母。こんな会話の中、私が剣道を始めて九年がたちました。私の兄が始めた頃、弟は生まれてまだ二ヶ月、私は二才でした。

兄の剣道を見学に行ってるうちに、私もやりたくなり、五才になって剣道を始めました。

それから私の剣道中心の生活が始まりました。でも、この剣道中心の生活は、私だけではありません。母も仕事の後、早くから食事の仕度をして、いつも道場まで送っていき、ずっと練習を見ていてくれました。弟も母のいない間、洗たく物をたたんでくれたり、お風呂を洗ったり2番目の兄と食器を洗ったりして母を助けていました。父は、疲れて帰ってくる私にやさしい言葉をかけて、はげましてくれたり、一人けい古ができる様に、タイヤ打ちの台を作ってくれたりしました。家族みんなで私の剣道を応援してくれたおかげで、今までがんばってこれたのだと思います。

 

 

 

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