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先生は私がただ心配で来て下さっただけだったのです。「どうしてそこまでされるのだろう。」胸が熱くなりました。「もういいです先生!」と心の中で叫びました。先生とあの日から手紙の交換をずっとさせていただき私にとって大好きな大事な先生なのです。「もう気持ちをきりかえよう。悔しさがあったからがんばってこれたんだ。この悔しさをバネにして女子の出場できる全国大会へ向けてがんばろう」と心に決めました、この悔しさは一生忘れることはできないと思います。でもけっして人を恨んだりはしません。それは館長先生の教えがあるからです。「人間はまちがいもする。でも反省できるのも人間だけだ」という言葉です。私を笑った人もミスをした大人の方も人間です。必ず反省していると思います。そして私も人間です。友達など言葉や態度などで傷つけているかもしれません。その時はしっかりあやまり二度としないようにします。二つの悔しさで学んだことをいかし、流した汗、流した涙を大切に心の暖かい人になるよう努力し大好きな剣道を続けて行きます。

 

『勇気』

 

広島県福山市

曙剣道クラブ

小学六年生

八田秀成

 

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こんにちは、

ぼくが、剣道を習い始めたのは、小学校三年生の時、初めての見学の日、胸がドキドキしながら母につれていってもらいました。

体育館に入った時、「メーン」というするどい気合の入った声が聞こえてきて、その雰囲気に圧倒され、思わず母の背中にかくれてしまったことを覚えています。でも、みんなの動きがきびきびとしていて、とてもきれいでした。

「ぼくもあんなふうにできるのだろうか。」

不安をかかえながらも練習に見とれていました。

最初は、剣道がどんなものなのか、わかりませんでしたが、先生に聞いて見ると、剣道とは、礼に始まり礼に終わるものだと答えが返ってきました。そして、体育館に出入する人達がみんな礼をする理由が少しわかりました。ぼくは、ただ礼をするだけの日々がしばらく続きました。

それから三ヶ月ぐらいたった四月の初め、あらためて先生から、「剣道とは、技術をみがくだけでなく、礼儀を学び、心を養うものである。」ということを教わりました。その時、体育館は単にスポーツだけをする所ではなく、僕にとっては、精神を学ぶ道場なんだということに気づきました。

それから、しばらくして、先ぱいの試合を見る機会にめぐまれ、はげしい打ち合いで切りさくような気合が体育館にこだまし、気力をふりしぼって戦っている姿をぼくは、ずっと見て、もしぼくだったら、勝ったらうれしいし、負けたらくやしいと思います。すぐに顔や態度に出るだろうと思い、でも、勝った方も、負けた方も、試合が終わると、おたがいに礼をし、戦う前と同じように、何事もなかったかのように静かに礼をしました。

そして、ぼくのおばあさんが、二ヶ月間入院した時のことです。おばあさんは老人保健施設という所へ、入っていました。日曜日に自転車をこいで会いに行き、そこには、車椅子に乗っているたくさんの、おじいさんやおばあさんがいました。

 

 

 

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