ねたきりの人達も多くいて、ぼくのおばあさんも、リハビリをするために、車椅子で音楽室に行っていました。ぼくは、はずかしくて、音楽室の前で、立ち止まっていましたが、その時です。ふとぼくの耳に「礼に始まり、礼に終わる。」という、先生の言葉がよみがえり、勇気を出して、「みなさんこんにちは。」と、自分でも、びっくりするぐらいの大声ではっきりと、あいさつすることが出来ました。すると、音楽室にいた、おじいさんや、おばあさん、それに職員の人達も、「こんにちは。」と返事をしてくれました。ぼくは、とってもうれしかったです。
職員の人が、ぼくに青いカスタネットを手わたしてくださいました。そして、「おもちゃのチャチャチャ」をいっしょに歌い、帰る時に、おばあさんがぼくの手をにぎって、なみだをうかべながら、アメをくれました。「ぼく、ありがとうな。ありがとうな。」っと何度もお礼を言ってくれました。ぼくも、胸がふるえ、熱い物がこみ上げてき、来てよかったな、思い切ってあいさつしてよかった。言葉ってあたたかいな、剣道と出会い、先生勇気をありがとう。そんなことを考えながら、軽い足取で自転車を走らせました。
剣道と出会い、礼という言葉を教えてもらってから、ぼくが、少しずつですが、前向きになってき、初めて合う人、初めての経験、勇気を持って、そこに飛び込み、自分の世界を広げていきたいと思います。
