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結論

 

解明された事実

1. もし、水先人の意図を船長にはっきりさせることとなる、船長との完全な協議が行われていたら、そして、もし、水先人下船地点までの適切な航路を選択することについての合意があったなら、本件乗揚は、おそらく発生しなかったであろう。

2. もし、ブラウンズ・レッジ礁の南方を通過する針路とする前に、船長と水先人の両人が、水先人が選定した新針路線を検討したなら、両人とも、この航路線が水深39フィート海域の近くを通ることに気付いたに違いないし、そうすればおそらく、この暗礁地帯を避けたであろう。

3. 船長が設定した25ノットの速力について水先人が同意したことが、失敗を生じさせる余地を残した。

4. 船橋当直航海士たちの効率的な船橋資源管理技術が、航海の安全を高かめることになる。

5. 適切な船体沈下現象情報が、乗組員に与えられていなかった。

6. NOAA海図及び合衆国水路誌各巻には、水路の安全を評価するのに効果のある、航海者に必要な水深測量の詳細な情報(測量実施年月、測深手法及び測深索間隔)が欠けているけれど、その海図には、QE2の船長と水先人が、水深39フィート地点と岩礁地帯から遠去かる針路を選定するのに、十分な深度情報が示されていた。

7. 船員の雇用者が、適切な時機に、船橋当直者から毒物検査用試料を採取することに失敗した。

8. QE2に向かったコースト・ガードの訪船係員は、毒物検査が必要であることを知っていたけれど、乗組員を検査する責任があることを雇用者に通報する範囲と実施上の手段についての指示を受けていなかった。

9. ハリファックスでQE2に乗船した旅客が、緊急時に対処することができるように、分かり易く簡単な説明と訓練を受けるべきであった。

10. 船旅をする身体に障害のある旅客が、緊急時に対処することができるように、助言と行動に関する別種の安全対策を準備する。

 

推定される原因

国家運輸安全委員会は、QE2の乗揚についての推定される原因は、水先人と船長及び船橋当直航海士間のヴィンヤード海峡出航時の航海計画についての議論と合意がなされていなかったこと予定外の進路変更を行った後の状況変化に対する注意の不足とにあると断定した。

 

 

 

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