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2千8百万以上のアメリカ人が聴覚を失い、その80%が完全な障害者で聴覚を回復することが出来ない人たちである。これに加えて、聾唖とその他の相互通報不具合者に関する国立機関によるものを含む分析によると、合衆国国民の三分の一以上が、65才になるまでに相当な聴覚障害を持つようになるとのことである。旅客に占める老齢で聴覚に障害を持つ人の割合は、かなり高いと考えられる。ある国際旅客船協会の分析者は、平均5年周期で客船旅行をする人の36%が、若い人でも60才を過ぎていると言っている。

安全委員会は、聴覚障害者及び他の障害を持つ旅客が火災、沈没または退船のような緊急時に、その状況を知ることが出来る、情報通知の方策を船内に設けるべきであると考える。本件に対する、本調査で判明した潜在的問題点に明らかにするために、安全委員会は、客船旅行をする身体障害者に対し、緊急時における助言と行動についての別種の安全対策が必要であると結論した。

1991年9月6日運輸省(DOT)は、1990年アメリカ人身体障害者に対する適切な交通手段設置のための法令を最終的な規則(「規則」という。)として発表した。規則は、身体障害者が施設の利用を容易にし、公衆の使用する場所、交通機関及び通信手段において、身体障害者を差別してはならないとしている。どの規則にあっても、将来、発効されるべき規則として留保されている49CFR37.109“自動車運搬船及び他の旅客船”を除くと、船舶に当てはまるものはない。ここに至るまで、DOTは、交通施設を身体に障害を持つ旅客向けに利用可能なものとして開発するために、十分な指示を与えていないこと、旅客船に関わるものとしての「規則」の設定を研究するため専門家に相談してきているということを示してきた。

安全委員会は、利用可能な設備の必要性を研究することに加え、DOTとIMOは、旅客船に乗船した身体障害者を目線に入れた、安全論争について研究するべきと信じる。

 

 

 

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