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安全委員会は、試料採取が事件発生後2時間以内に終了していない場合には、総ての機関は実施管理者に通報することが必要であると確信している。管理者は、通報の内容について、それ以上の詮索をするべきでないし、通報には、遅れた理由を書き加える必要がある。更に、2時間が過ぎてしまっても、検査の期限に制限を設けるべきではない。安全委員会の提案による2時間以内か、推奨されている4時間以内に試料を採取し、事件後出来るだけ早く検査を済ますべきである....

先ず、安全運航上の問題点に注目しなければならないために、海難発生後の薬物検査実施の問題点は、以前から存在していた。それでもなお、訪船検査係員は、船員の雇用者(注45)に乗組員を検査する責任を通知し、必要なら、雇用者に毒物検査を実施するに際しての手助けをする計画を立てて置くべきである。薬物検査は、事件に直接関連した事態ではないけれど、付け足しとして処理されるべきでない。毒物検査試料は、乗組員の行動に疑問点があるなら、いかなる程度のものでも総ての事件で採取しなければならないし、実行できる範囲で事件直後に採取しなければならない。

安全委員会は、QE2へのコースト・ガードの訪船検査員は毒物検査の必要性については承知していたが、乗組員を検査する責任のことを本船の船主に通知するのがどの範囲かを示した指図書がなく、必要であったにもかかわらず、毒物の試料採取と検査を終了させるため、船員の雇用者を手助けするための指図書がなかった。

薬物検査規則は、連邦規則集の表記33と46に記述されているが、コースト・ガードは、毒物検査で訪船係員が行う特別の作業内容を概観するための指図に制限を付けてきた。更に、これらの指図内容(1991年5月7日付け、管理者通達書16247.5)は、主に、娯楽用小型船について言及している。そこで、薬物検査を実行する方法についての指導を制限しているため、“娯楽用以外の船舶”に対しての検査に問題点が生じていて、これが、毒物検査試料の採取に、遅れが出る原因となっている。コースト・ガードの検査員や事件に関連した船舶の船主/運航者は、検査が規則に則って必要であるかどうかを決定しなければならず、もし必要なら、誰を検査するのか、いつ、誰が試料採取を始めるのかを決定しなければならないのである。安全委員会は、船員の雇用者が事件後の毒物検査を求めている連邦規則に馴染んでいるべきだと確信する。安全委員会は、コースト・ガードが訪船検査員が船員の雇用者に、毒物検査を実施し、必要なら検査の援助(試料採取用機器の調達とか検査機関の紹介とかの)をする責任があることを承知させなければならないと確信する。

注45 表記33CRF95.010と表記46CRF4.03-45は、船員の雇用者を船舶所有者、経営運航者、雇船者、代理店、船長、及び娯楽用船舶以外の船舶を管理している者と規定している。

 

 

 

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