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ステップ3-5 概要

ステップ3〜5はGEMS体系に基づいている。この体系は不安全行為/不安全意思決定の特定(ステップ3)から行為又は意思決定の何が誤っていたかの特定(ステップ4)へ、そして最終的に行動の文脈の中に置くこと(すなわち、ステップ5での所与の作業レベルにおける失敗モード)へと導く「経路」を示してくれる。GEMS体系を図3に示すが、事件を仮説的に再構築するのに特に役立つ。

 

ステップ3-不安全行為/不安全意思決定及び不安全条件の特定

 

プロセスのステップ3では、SHEL及びReason体系を用いて収集し系統立てた情報は事件の原因となりうる要因、すなわち、不安全行為/不安全意思決定や不安全条件の特定を始めるのに使用される。不安全行為とは、危険又は不安全条件となりうるものの存在下で実行したエラー又はルール違反であるとされる。明らかな具体的行為とはならないが、安全に否定的影響を与える意思決定も不安全行為と考えられる。上述した不安全条件又は危険は災難mishapをもたらす可能性のある事象又は状況である。かくて事件を反復評価することを必要とする不安全の候補となるとなりうる行為、意思決定及び/又は条件はいくつもあることになる。SHEL及びReasonのハイブリッドツール(図2参照)はこうした反復評価を実施するための有用な原則となる。

一旦、ある不安全行為、不安全意思決定又は不安全条件が明らかになると、次の段階でこの特定の行為又は条件の発生源を確定する。さらに調査及び/分析を行うことで、当初に特定された原因となりうる要因に先行するその外の不安全行為/不安全意思決定又は不安全条件を明らかにできる。

前述したように、プロセスのステップ1及び2の全体を通していくつかの不安全行為及び不安全意思決定を明らかにできる。事件に突き落とす直前の不安全行為が事件を再構築するための出発点を与えることが多い。この直前の行為又は意思決定は、事件に導いた最終的な行為又は意思決定として、すなわち、事故又はインシデントを不可避にした直前の行為又は意思決定は、冒頭の事象の第一次的原因であるという点で他の要因とは異なる。これは通常即発的失敗であるが、直前の不安全行為又は不安全意思決定は潜在的な不安全条件、例えばシステムの失敗を導いた欠陥設計の決定によるシステムの故障等に当て込むことができる。

 

 

 

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