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4] 差別化の徹底

価格競争を回避するために、製品差別化を徹底的に追求し、生き残りを図る。その際には、特に新技術を軸とした省力化、省エネ化、ハイテク化等が差別化の核となる。逆に、新技術開発が停滞している製品の場合には、後発企業のキャッチアップを受け、価格競争に巻き込まれることになりかねない。

また、他社が研究開発投資をしてまで後発参入する魅力を感じさせない程度のグローバル・ニッチ市場の場合、既に参入している企業は、成長性は期待しにくいものの、安定的な収益性を期待しやすいと言える。特に、中堅規模以下の企業にとってニッチ市場創出は魅力的な戦略である。

 

【日本の競争力が韓国の競争力を下回っている舶用機器製品】

艤装品、大型エンジン

注1:製品名は順不同である。

注2:艤装品の中でも特に、塗料、舷窓・扉、その他艤装品について、日本は韓国に比べ競争力が大きく劣っている。逆に、艤装品の中でも、救命機器、公害防止機器、計器類は日本の競争力が韓国を大幅に上回っている。

注3:前述のように大型エンジンは両国間で貿易実績がないため、コスト試算結果を基に位置付けたものである。コスト試算はVLCC用エンジンを想定しており、全ての主機エンジンを代表している訳では必ずしもない。また、今後、為替に代表される環境変化、または、業界・企業努力により、競争力が回復する余地は十分にある。

 

これらの製品は、既に日本の競争力が韓国を下回っていると考えられる。韓国との競争で劣位に立たされている日本の造船企業にとって、競争上劣位にある舶用機器に対しては、輸入品への代替や製品価格引き下げ要求を強めることも予想される。このような状況の下、日本の舶用機器メーカー・業界としては次のような対応が必要である。

 

1] 個別企業単位の企業努力

企業単位で、自動化機器やFMS導入による生産性向上、外注の拡大、部品材料の海外調達拡大、間接部門の合理化、部品の削減・共通化等によりコスト競争力の回復を目指す。

 

2] 縮小均衡

造船市場の頭打ちに加え、今後、海外からの輸入圧力も予想される中、事業規模を縮小し、生き残りを図る。

 

 

 

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