1] 海外市場開拓
日本国内市場のみに依存した場合には、停滞、ないし縮小を免れえない。事業規模の維持、拡大のためには、海外市場開拓が必要である。特に、韓国、中国は造船産業が成長期に位置しており、造船市場拡大が見込めることから、優先度の高い市場である。
2] 国際分業推進
今後予想される国際競争の激化に備え、国際分業を推進し、コスト競争力の強化を図る。国際分業の方法の中心的テーマとして、海外調達拡大を軸とした調達先の多様化による生産コスト削減、海外現地生産化による生産コスト削減を指摘することができる。
3] 収益基盤の多様化
国際分業をさらに進め、収益基盤を生産・輸出から、部品・サービス、ライセンス料、投資収益へと多様化させていくことも検討すべきテーマである。一部の欧州メーカーはすでにこのモデルを採用している。日本企業が生産活動での価格競争力維持が難しくなった場合には、ビジネスモデルを再構築し、収益獲得の基盤を製品生産・輸出以外の分野に移す必要がある。
韓国企業に対する技術供与に関しては、従来、日本企業がブーメラン効果を危惧して消極的であったケースが一部であったとも言われている。しかし、当該技術を世界的に独占していない限り、日本企業が技術供与しなければ、欧州企業が供与し、その結果、日本企業は韓国市場での地位を失うことになり兼ねない。従って、技術供与に対しても、収益基盤の多様化という視点から積極的に検討すべき課題であると言える。