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しかしながら、経済が回復に転じた1999年は、再び賃金上昇率が高まる気配を見せている。さらに、週休2日制の導入が社会的要請として高まりを見せている。この点も賃金水準に影響を与える可能性がある。

 

図:韓国の平均月間労働賃金の推移

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資料:労働部/毎月労働統計

 

図:韓国の平均月間労働賃金対前年増減率

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資料:労働部/毎月労働統計

 

次に、日韓造船業の賃金水準を比較すると以下の点が指摘できる。

日韓造船業の平均賃金水準を当年のドルレートで換算し、比較すると、1999年は日本が月間約4,100ドルに対し、韓国は月間約1,600ドルであり、日本の賃金水準は韓国の2.5倍となっていることが確認できる。過去の推移を見ると、円高から円安局面に転じた1996年から1997年にかけて、両国の賃金格差は2倍程度にまで縮小したが、その後、ウォンの大幅下落により、両国の賃金格差は再び拡大した。但し、日本の造船業が90年代後半以降、ほとんど賃金水準が上昇していない半面で、韓国は賃金上昇率が鈍化したとは言え、上昇基調にあるため、ウォンレートの下落ほど賃金水準格差は拡大していない。

なお、以上の比較は、両国造船業の本工賃金の比較である。韓国の造船業界は、日本と比較すると社外工比率が低いため、社外工も含めて比較した場合には、両国の賃金格差は縮小すると考えられる。

 

 

 

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