資料:韓国銀行
韓国経済の短期的なリスク要因としては、次の点が指摘されている。このうち、現時点で特に焦点となっているのは、原油価格上昇と金融不安再燃の懸念である。
原油価格上昇は、いくつかの経路で韓国経済の成長率を低めることになる。
・原油価格上昇による物価上昇は民間消費、企業設備投資にマイナスのインパクトを与える。
・物価上昇圧力に対応し、金利引上げを中心とした需要抑制政策が採用される。
・原油価格上昇は輸入増加をもたらす半面、世界経済へのマイナスインパクトを通じて輸出減に作用する。その結果、経常収支が悪化する。
三星経済研究所のレポート(2000年9月発表)によると、原油価格1ドル/バレルの上昇は韓国のGDPを0.12%ポイント下落されるとされる。また、政府系シンクタンクである産業研究院の経済展望(2000年9月発表)によると、1バレル=30ドル台が持続した場合、GDPは2000年8.7%、2001年6.2%と、成長率が低下すると予測している。
もうひとつの焦点は、金融不安再燃の懸念である。韓国の金融機関の不良債権処理は、今だ十分には進んでいない。先に破綻した大宇グループの再建問題は、当初予定に比べ進捗が遅れている。このような中、仮に財閥破綻により、金融機関に多額な不良債権が発生した場合、金融不安が再燃する可能性もあると見られる。