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(2) 為替の推移

韓国ウォンの対ドル、対円レートは、長期的な趨勢としてはウォン安傾向が続いている。特に対円レートは、90年代初めには100円=500ウォンだったものが、現在では100円=1000ウォン以下まで切り下がっている。このような長期的なウォン安の背景としては、1)韓国の物価上昇率が相対的に高いこと、2)韓国の資本収支が伝統的に黒字(経常収支が赤字)であること、が指摘できる。通貨危機直後には瞬間的に1ドル=2000ウォン程度まで下落したが、その後、韓国経済の回復を背景に、ウォンレートは安定的に推移してきた。しかしながら2000年11月にやや大きな下落を見せた。

 

表:ウォンの対ドル・対円レート(年平均)の推移

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資料:韓国銀行

 

(3) 韓国経済の短期展望

1997年のウォン暴落に始まった韓国の経済危機が再び発生するリスクはかなり低下している。通貨危機の引き金となった外貨準備高は、通貨危機直前の急減から大きく回復し、1999年末には700億ドルを超える過去最高の水準を達成した。また、伝統的に赤字基調であった経常収支は、黒字に転換した後、現在のところ再び大幅な赤字基調になる気配を見せていない。このようなことから、韓国は急激な資本の海外逃避には耐えられる体質に転換したと言え、通貨危機のリスクは後退したと見ることができる。

もっとも、韓国に流入する外資に占める短期資金の比率は、高い割合を占めている。しかしながら、これは国際資金移動全体の問題であり、韓国に限った問題ではない。その意味で、アジアや中南米諸国で見られた通貨危機リスクは、全体としては高まっていると見るべきであり、韓国がその影響から完全に免れることができるとは言うことができない。

 

 

 

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