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■韓国の大手造船企業による欧州製舶用機器評価

・欧州製品の強みは、1)欧州船主が選好する、2)先端技術に強い、であり、半面、弱みとしては、迅速な対応が取りにくい、長期的な観点での価格交渉が難しい、である。価格は最近のEURO安もあり、日本製と同等、ないしはやや安価となっている。技術開発を中心に差別化戦略を取る企業が見られ、確固たる市場地位を築いている。

 

IV. 韓国の主要舶用機器業界の現状

 

■韓国の主機関業界

・新造船建造量の増加を受け、韓国の主機関生産量は増加傾向にある。

・大型エンジン生産企業は、現代重工業と、HSDエンジン(ビッグディールにより成立)の2社である。生産能力は前者が450万馬力、後者が320万馬力と、日本企業を大きく凌駕している。

・現代重工業は、大型エンジン生産能力を80〜100万馬力増強する見通しである。

・HSDエンジンは、出資企業間の確執が伝えられたなど、混乱が見られる。最重要な経営目的は、三星重工業、大宇重工業への安定的な主機供給であり、収支上では不安が残されている。2000年から2001年にかけ生産能力を70万馬力拡大する予定となっている。

・国産化率は80〜90%と既に高い水準に達している。韓国が弱いエンジン部品としては、ガバナ装置、燃料弁、クランクシャフト等である。

・韓国製主機価格は、海外市場で一時、馬力当たり100ドルという価格が提示された。現在では、120ドル以上の水準にある模様であり、価格は上昇傾向にある。

・現在、日韓間の大型エンジン製造コスト格差は、18%と推計される。両国の製造コストが均衡する水準は、現在の円ドルレートの場合で1ドル=900ウォン、1ドル=130円の円安シナリオ時では1ドル=1,100ウォンであり、円安、または、ウォン高がかなり進展しない限り、日本の製造コストの劣位は変わらない。日本としては、生産性向上を始めとした個別企業努力や集約化等の検討が必要である。

 

■韓国の補機関業界

・韓国国内企業は、現代重工業、双竜重工業であり、市場の7割を占めている。残りの3割は、日本、欧州からの輸入品によって占められている。補機の輸入は船主指定によるものであり、今後とも輸入品が一定シェアを保つ見通しである。日本製補機については、安価で輸入されているため、業界の秩序を乱しているとの見解が聞かれた反面、造船所からは価格が高すぎるという指摘も聞かれた。

 

 

 

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