(4) 各々の舶用メーカにおけるビジネスモデル
e-サービスプレイスを通じて(を利用して)、アフターサービス・ビジネスを行う舶用メーカとしてのビジネスモデル(お金の流れ)は、以下のタイプに分類される。
1] 新機種(新台)受注誘導型
2] 補修部品・工事受注誘導型
3] 情報コンテンツビジネス型
3つのタイプ(1]〜3])は各々が全く独立するものではなく、一連のビジネス活動の中で相対的に特にどの部分への指向が強いかの区分である。
1]は、e-サービスプレイスを通じてのサービス提供を、直接には収益の対象とは考えずに、むしろ自社製品に対するプレゼンス向上のための営業ツールとみなすものである。併せて双方向の情報交換の仕組みによりユーザ(船社、船舶管理会社)側から入手した情報(点検・整備計画、点検・整備記録等)を、積極的に新機種(新台)販売の提案営業に活用させることを目的としたタイプである。
2]のタイプは、上記1]の類型となるが、現状における多くの舶用メーカにとって重要なビジネスアイテムである補修部品受注、工事受注のチャネルを、インターネット上に確立することを目的とするタイプである。ネット上に単なる受注チャネルのみを設置しても、ユーザ側から利用される可能性が極めて低いのは今回の実態調査から明らかであるが、e-サービスプレイスによる電子マニュアルサービス(特に部品検索機能)および工事実施・障害対応(緊急対応)支援サービスをもってして、この問題を解消させることを意図している。
最後に3]は、文字どおり上記1]、2]に比べて、e-サービスプレイス自体が提供する情報コンテンツや高度に情報化されたサービスからより大きな収益を上げることに注力するタイプとなる。新機種(新台)や部品というハードウェア販売による売上高よりも、付加価値サービス(ソフトウェア)からの利益に企業経営の比重をシフトさせることを狙ったタイプということもできる。理想とするサービス形態は、ユーザ(船社、船舶管理会社)から舶用機器管理のアウトソーシングを受けることで、ユーザ側を実質的にメンテナンス・フリーとさせることである。