またe-サービスプレイスの名が示すように、ほとんど一船すべての機器を網羅する程の多様な舶用メーカの参加が実現すれば、舶用機器間で統合されたサービス提供によるシナジー効果を大いに発揮することが可能となる。
(2) ビジネスモデルの検討
ビジネスモデルは、舶用工業の業界内における内容と、顧客(船社・船舶管理会社)業界に対する内容の、二つの側面から考えられる。
舶用の業界内においては、まずe-サービスプレイスに取り組む先行者メリットとしての、業界内での有利なポジションの確保が上げられる。e-サービスプレイスに当初から積極的に関与することで、自社仕様あるいは自社のコンセプトをe-サービスプレイス標準仕様に反映することができ、このことは自社のアフターサービス実施方針ないし実施体制に則したサイトの構築を意味する。「4.1高度情報化アフターサービスの方向性」節で示したようなこれからの舶用メーカ間の競争の場において、いわばポールポジションを確保するというビジネスモデルの捉え方とである。
また、上記のことは、情報化対応が遅れた他メーカに対して、あるいは情報コンテンツの充実や、e-サービスプレイスヘの対応がままならない他メーカに対して、先行メーカによるコンサルティングビジネスの事業化にもつながっていく。直接的なコンサルティングに係わる収入に加えて、間接的にも舶用業界内での実質的な支配関係の確立にも成り得るものである。
一方で、ビジネスモデルが対象とする主要ターゲットである顧客(船社・船舶管理会社)業界に対しては、以下の事項が考えられる。
・現行のスーパーインテンデント(SI)関連業務に対する、e-サービスプレイスを通じた支援提供(必要な情報と機能の提供)による直接収入
・上記のアフターサービス提供の延長上にある、SIへのメーカ・プレゼンスの向上、新造船時の機種選定への営業アピール
・優良なアフターサービス(必要な情報と機能の提供)のリターンとして顧客情報の積極入手による、実効性にある営業計画作成等の顧客との関係強化
→顧客情報の積極入手に基づく提案営業の展開
→部品・工事発注の喚起
→メーカ依存度の強化
・近い将来に予見されるSI人材不足に対する、舶用メーカとしてのソリューション提供(将来的な機器管理業務のアウトソーシングビジネスの可能性)