4.4 e-サービスプレイスによる舶用メーカのビジネスモデル
高度情報化アフターサービスを実現するe-サービスプレイスにおいては、情報コンテンツの流通に加えて、モノ(製品、部品)やカネ(製品、部品、サービス)の流れが伴う。e-サービスプレイス構想の実現を支える舶用メーカにとって、事業化可能性(フィージビリティ)の根幹を成すビジネスモデルの確立は不可欠であり、本節において検討を試みた。
ビジネスモデルの明確化は、高度情報化アフターサービスの実施形態、実施主体のあり方を導き、またそれに対して船社・船舶管理会社および舶用メーカ間の合意形成が図られれば、今後に舶用メーカが高度情報化アフターサービスに取組み際のインセンティブにもなり得るものである。
(1) e-サービスプレイス実現に取り組む意義
舶用メーカが、e-サービスプレイスに取り組む意義は、これからの情報化社会における明確なビジネス戦略をもつことである。
我が国の舶用メーカにとって、情報化を押し進めていると伝えられる韓国および欧州舶用工業界への対抗、また国内においては徐々にネットビジネスの世界へ踏み出し始めた顧客業界(海運、造船等)への追随は緊迫した課題となっている。
ネットビジネス、特にB2Bの分野は現在までのところe-サービスプレイスの立ち上げブームに反して利用実績の面ではいまひとつなのが実態である。しかし、いずれ淘汰、統合、再編等を通じて真に有効なサイトのみが残り、ネットワークを通じたビジネス形態がビジネスチャネルの一つとして確立するのはもはや疑いのないところである。
舶用メーカがネットビジネスに取り組む努力を怠り、また上記の困難な時期を乗り越えて顧客業界(海運、造船等)主導の強力なサイトが生き残れば、舶用メーカにとって不利な条件(逆オークション、標準品・中古品サイトヘの参加等)の下で半ば強制的に参加を求めてきたとしたも、舶用メーカにはもはや対抗する術がない。
またもう一つの意義として、舶用工業界の総合力を結集してのe-サービスプレイス共同開発による、様々なリスクの低減とシナジー効果の発揮がある。
ここでいうリスク低減とは、主として共同開発によるコスト負担低減、および従来までにありがちな個々の取引関係における過度の無償化要求の回避である。