・上記のような分離形態になる理由として、迅速な対応が求められることもあるが、障害時には往々にして交換部品が高価であることや、障害発生の要因が本船とメーカのどちらにあるのかが不明確な場合に、価格争対応の交渉を直接の相手同士で行う必然性が高いことにある。
・メーカ側の対応は、とにかく部品搬入を間に合わせることが第一に優先される。部品在庫が無い場合は、直ちに部品製造に取りかかるが、それでも間に合わない場合には組立工程を流れる他所向けの機器から一時的に部品を抜き取ることも行わざるを得ないケースがある(いわゆる部品融通)。
この場合は、メーカ内でも各部門間の合意が必要であり、特に融通の指示は正式な指示系統に沿って営業部門あるいは技術サービス部門から製造部門に伝達される。
・障害発生時には、原因の完全な究明を待っては対処が手遅れになるために、その時点で必要な部品を正確に把握できないまま手配するケースが多い。この場合は、考えられる原因のすべてに対処できるよう多くの部品を手配・搬入し、工事実施後に結果として未使用の部品をメーカが回収する方法をとっている。
(5) 修繕工事の発注手配
・修繕工事の発注は、障害発生時においても、部品工事の発注とは異なり、必ずしもメーカに依存しないケースもある。SIは、工事の技術レベルと工事価格を勘案して判断を行い、メーカヘの要請はスーパーバイザひとりの派遣にとどめて、他の作業者は専門の修理業者を手配することになる。
・SIは、管理船が寄港する各港毎に修理業者の一覧を把握しており、また外航船舶が寄港する港では、このような修理業者からの売り込みも激しい状況である。
・一方で、メーカ側も、スーパーバイザ以外の作業員は、自社系列または協力関係のある専門業者に依頼することがほとんどである。
・工事に際しては、寄港地での限られた時間内で最大限に効果的な方法で行わなければならず、本船機関長、メーカからのスーパーバイザ、修理業者、あるいは現地に急行したSIも交えて、綿密なミーティングを行い、内容を決定して作業を実施する。
(6) 修復状況のトレース
・すべての手配後の、部品搬入の状況、工事実施の状況は、逐一(ほとんど日次べースで)担当業者およびメーカからSIに報告される。