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・エンジンメーカ側も、十分な数のエンジニアの確保は難しいという事情もあり、効率のよい要員維持・配置がとれるメリットもある。

・ただし、このような傾向は発電機エンジンのように機械制御系機器の場合である。航海計器、電気機器等の特殊な枝能を要する分野では、工事のメーカ代理店(あるいはメーカ)への依存も必然的に高まってくる。

・上記までに示したように、通常時の部品交換、および工事実施という代表的なアフターサービス関連業務は、各々を異なる業者が担う(ことが多い)という特徴がある。

 

(4) 予防保全実施の履歴管理

・部品交換や工事実施の完了報告は、担当した業者から例外なくSIになされている。各船毎の管理は、SIが全責任をもって実施するために、一切の報告・記録の管理(ファイル化、データベース化、共有化等)もSIが行う。

・SIはこれら予防保全結果の集計、解析・分析を行った後に、チェックインターバルの変更等の新たな予防保全計画作成のための検討を行う。

・それら事項の中で管理船の各船に共通する事項については、船舶管理会社における技術担当のスーパーバイザ(SIが兼任することも多い)が管理することもあり、他船担当のSIへの周知徹底を図っている。

・予防保全実施の報告・記録は、船舶管理会社から船社にも報告されている。

・エンジンメーカ側への予防保全実施に関する情報のフィードバックという点では、上記2)、3)で示したように、当該エンジンメーカ(メーカ代理店も含めて)が関与しない範疇の、船舶管理会社側で実施した部品交換、工事実施については、ほどんどされていない。

・この要因は、情報開示の問題よりも、むしろフィードバックするための労力に関わる問題(要するにSIは非常に多忙なためにそこまで手が回らない)である。

・一方で、エンジンメーカ側も、現状のビジネスモデル上そこまでの情報を入手する意識・体制には至っていない。

 

(5) 定期検査対応

・定期検査対応は、船舶管理会社では通常時の部品交換・工事実施の(大きな)イべントとして捉えられている。入渠の場合は、SIは検査のおよそ1〜3ヶ月前から準備に忙殺され、検査後の1ヶ月程度は検査に要した諸費用の精算に追われている。

 

 

 

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