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3] プラットフォームやベンダに依存しないシステムを構築できることが主要な特徴である。

CORBAは分散処理環境として、そのオープン性から普及が予想される。

ただし、船上及び船陸統合システムで分散型オブジェクト処理まで考慮する必要があるかどうかについては疑問がある。本船からは主に生データの転送であり、通常のWebサーバによる情報提供でも問題はないと考えられる。

ただし、陸上の管理システムにおいては、情報の加工、分析業務が多くなるので分散型オブジェクト環境が前提となろう。

 

4) MiTSのFMSNへの適用

MiTSでは本体ネットワークから切り離された管理ネットワークに通信のためのノードを設け、陸上のネットワークとの通信を行う。

通信手段は主に電子メールである。電子メールの規格としては、ISO/CCITT勧告のX.400を採用している。具体的には、PCにMiTSメールAPIを実装し、モデムに接続することにより陸上との通信を行う。

 

3.3 調査結果の評価・検討

API技術についての調査内容を基に総合的な評価・検討を行った結果、FMSNで求められる基本機能を設定した。

 

1) 分散型オブジェクトシステムの採用

船舶運航に関わる組織は多く、その個々の組織が持っている情報を有効にリンクするためには、分散型オブジェクトシステム(COM/DCOM、CORBA)が適している。

Web型システムをはじめとする他のAPIの場合には、自身の必要情報がどのネットワークノードにあるのかを予め知っていなければならないが、分散型オブジェクトシステムの場合にはそれを知っている必要がないことが大きなメリットである。

また、分散型オブジェクトシステムの場合にはネットワークノードの追加、削除等、ネットワークの維持管理も容易である。

 

2) FMS関連プロジェクトとの整合

各FMS関連プロジェクトにおいて採用を予定されているAPI部の技術について、現状段階で全てが明らかになっているわけではないが、造船研究協会の『新しいフリートサポートシステムの研究』や米国の『ISIT/SLCSIプロジェクト』では分散型オブジェクトシステムの採用が計画されている。この点からも分散型オブジェクトシステムの採用が望まれる。

 

 

 

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