3.3.4 「商の和」規制による実務担当上の問題点
(イ) この規制により積みとることができない危険物が発生する場合がある。
荷送人から運送の申し込みがあった時点で、仮にその輸送を引き受けると内地港において同規制による、それぞれの危険物の数量をそれぞれの荷役・停泊許容量で除した商の和が1を超えることが予想される場合は、輸送の申し出を断らざるを得ない。
(ロ) 規制の許容範囲内にあるかないかを確認する方法が複難である。
荷送人から運送の申し込みがあった時点で、積載予定場所を決め内地各港に寄港時の当該区画の開放の有無、その時点で積載している各危険物の重量を予想し計算しなければならない。
航路によっては、数ヶ月先の状態を予想して計算しなければならず、荷役許容量にあってはその港で積み込まれるであろう危険物の重量分を余裕として確保しておく必要があり計算が極めて複雑である。
また、港と港の距離が短い場合は、港長に危険物荷役許可申請を提出する時点で前の港で積載した危険物のデータ入手が時間的に困難な場合もあり、許容量の範囲内にあるかを計算する際この分を余裕として確保する必要がある。
3.4 危険物積載コンテナ荷役に関する昭和48年当時との比較と安全性の向上
昭和48年当時と現行の危険物荷役状況の比較を表3.12に示し、昭和48年当時と現行の危険物荷役に関連する項目の安全性の向上を船側、陸上側に分け表3.13に示す。表3.13によれば、事故被災者の減少、使用機器の技術革新及び検査制度の制定等により昭和48年当時と比較し危険物荷役に対する安全性の向上がハード・ソフト面にわたり見出される。
また、安全性の向上点に関連する各法令の改正経緯を表3.14に示す。