3.3.3 危険物荷役の事故
(1) 事故想定
コンテナターミナルで取扱われる危険物は、引火性液体類・可燃性物質類・毒物・腐しょく性物質が大部分を占めている。
この中で、毒物・腐しょく性物質については、その性状より公共的危険性が小さく、さらに十分な時間的余裕があるので専門業者による適切な措置が期待できる。
ここで問題となるのは引火性液体類・可燃性物質類における火災事故と考えられる。
コンテナ専用岸壁で荷役作業中に考えられる火災事故の原因としては次のようなものが考えられる。
(1) コンテナ落下の際の衝撃による発火
(2) コンテナ内貨物の漏洩による引火
(3) コンテナ貨物の化学的又は、物理的変化による自然発火
(4) 他船との衝突の衝撃による発火
(2) クレーン荷役に係る事故の発生状況
わが国におけるクレーン等による死傷災害の発生状況は、(社)クレーン協会発行の「クレーン年鑑」に記載されている。
昭和56年から平成10年の18年間における死傷災害の発生状況を表3.11に示す。
これによると、「クレーン等による業種別・機種別災害発生状況」の「業種:港湾荷役(港湾貨物取扱業、沿岸荷役業、船内荷役業)」「起因物:クレーン」による休業4日以上の死傷者数はA]項に示すように561人発生している。
また、A]項の内訳として業種を「船内荷役」に限定した場合の休業4日以上の死傷者数はB]項に示すように154人になる。
更に、業種:港湾荷役業、機種:橋型クレーン(ガントリークレーンが分類されるクレーン機種)に限定した場合の死亡災害はC]項に示すように24人発生しているが、事故の現象及び災害発生状況からしてコンテナ船の荷役中に直接関連する災害ではないと思われる。
ただし、この資料に記載されている災害発生は、人身事故に関係するものであるため、休業4日未満の人身事故、貨物のみに係る事故等は含まれていない。