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3.4 遭難時の連絡手段として小型船舶搭載に適した通信機器類の検討

 

3.4.1 既存設備、機器類の現状及び検討

現存の沿岸海域を航行する船舶で使用できる通信設備システムの調査を行い各々について、制度、技術面からの問題点の抽出を行い、改善の可能性を検討することとした。なお、調査内容及び調査結果の一部を資料編に添付した。

調査を行った現存の海上通信設備のうち、表3.4.1-1に「日本沿岸海域を航行する船舶が使用できる通信システムの概要」を示す。

前記調査結果では、一部の機器で問題点の指摘はあるが、全体的に現状把握が不十分と考えられる。今後、補充調査を行い、今回の調査研究会で行った3.3項のユーザへのアンケート結果を併せ、対応の検討を行うこととする。

既存の通信設備のうち、27MHz帯設備(DSB/SSB)や国際VHF設備のように、音声による安全・緊急通信が行える機能を持っている設備はあるが、電源を有しない船舶や、船舶の転覆、沈没等の遭難時の救命設備として機能しないことが懸念される。

国際的にはSOLAS条約で衛星イパーブやレーダートランスポンダ(SART)を救命設備として指定している。しかし、義務化された船舶以外へのこれら設備の搭載は少なく、3.3項のアンケート調査でも、必要性を理解していても価格面などにより装備されない状況にあるので、今年度の調査研究会でこれら救命設備のうち、特に小型船舶用に適した衛星イパーブの検討に力を入れ、国内、海外製品の調査や基本性能の検討を行うこととした。

 

3.4.2 非GMDSS小型船舶用衛星イパーブの検討

平成4年2月1日から段階的に導入が開始され、平成11年2月1日から全面移行となったGMDSSにおいては、遭難船舶の位置発見のための設備として、COSPSA-SARSATシステムを利用した衛星イパーブの搭載が義務化された。

(1) COSPAS-SARSATシステム

COSPAS-SARSATシステムは、周波数121.5MHz及び406MHzで送信する遭難ビーコンの位置を決定するように設計された、衛星を利用した捜索救助システムである。COSPAS-SARSATシステムの基本概念を図3.4.2-1に示す。

1] システムの性能概要

COSPAS-SARSATシステムの性能の概要は次の通りである。

 

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