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船長は、自船がA船に対しては避航船、大型コンテナ船に対しては保持船となる状況であったので、両船の動静を監視しながら進行し、同二十八分ごろA船が右舷船首五一度〇・七海里ばかりに接近したとき、左舷船首一六度一・三海里ばかりのところに接近していた大型ユンテナ船が針路を右に転じて自船の進路を避けたので、同船と衝突のおそれがなくなったが、速やかに機関を停止しさらに全速力後進にかけるなどのA船との衝突を避けるための措置をとることなく、同船の方位がわずかに左方にかわる状況であり、大型コンテナ船が左舷側に著しく接近する針路で反航していたので原針路のまま続航し、同三十分ごろ六五〇メートルばかりに接近したA船の白、白、紅三灯を見ていた一等航海士から著しく接近する旨の報告を受け、直ちに機関を半速力に減じ、操舵を手動に切り替え、同三十一分ごろ一等航海士に注意喚起のための発光信号により短光連続を発信させ、同三十二分少し前、機関停止、半速力後進、全速力後進を続いて令し、左舵、次いで左舵一杯としたが、及ばず、全示のとおり衝突した。

衝突の結果、B船は、一番右舷貨物倉前部から機械室後部にかけて大破口を生じ、同破口から激しく海水が浸入し、傾斜したのち横転して沈没し、船長を含む乗組員五人が死亡したほか、二人が負傷した。また、A船は、船首部に凹傷を生じた。

 

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