小林寛明 Hiroaki Koayashi
1973年10月13日生まれ
1997年 桐朋学園大学作曲理論学科卒業
1998年 第67回日本音楽コンクール作曲部門(オーケストラ作品)第2位
1999年 桐朋学園大学研究科作曲専攻修了
ユネスコ国際作曲家会議出品
作曲を遠藤雅夫、安良岡章夫の両氏に師事。
現在、桐朋女子高等学校音楽科及び同大学音楽学部非常勤講師
百億の昼と千億の夜
Ten billion days and One hundred billion nights
オーケストラを楽器セクション、音色等の様々なレヴェルの集合体に分割し、それらを混在させつつ相互の均衡を保つ事。個々の集合体の持つ呼吸のサイクル、内部振動等を集合体同士で相互干渉させる事によって、音楽構造を立体化する事。
作品全体を様々な音色、音高で貫いているレ#音は、以上の事を実現する為に「常に立ち返り、参照すべき」基準点として設定されており、他の音楽的素材の状況は、レ#音の置かれている状態によって様々に管理、規制されていきます。レ#音は必ずしも音楽的素材として第一義的なものではありません。しかし、他の素材を管理しつつ、それらと共に構造を形成していく様な、音楽的に分離不可能なものとして規定されており、作品の構造的な枠組みを提示したり、あるテンションを示したり、音楽の方向性を導いたりと、様々な役割を担いつつ、曲の誕生から終焉まで鳴り続けます。
'98年11月末、冒頭の楽想から以上の様な方法を取る必要性が導かれ、聴き出された事により作業の方向性が決定、作曲が始められ、翌年2月初めに完成されました。
最後になりましたが、本日演奏して下さる指揮の秋山和慶先生、東京交響楽団の皆様、並びに日本交響楽振興財団、その他関係者の皆様に深く感謝申し上げます。