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◆第四楽章 アレグロ ハ長調 4/4拍子。ソナタ形式。第三楽章から切れ目なく続いてゆく終楽章は、輝かしいファンファーレ風の主題によってその幕が切って落とされる。第二主題は三連音符を巧みに取り入れたものであるが、この三連音符は「タタタターン」のリズムをとる基礎モティーフの発展型である。展開部で第二主題がおおきく盛り上がったところで突然pに転じ、3/4拍子に変わって第三楽章の回想が行われる。

 

■歌劇「魔笛」序曲

(モーツァルト)

この曲は、モーツァルト最後の年に書かれた傑作である。序曲というのは、歌劇への期待や雰囲気を盛り上げるために、開幕に先立って管弦楽で演奏されるもので、この曲では、はじめに全楽器が力強くおごそかに鳴り響き、続いて弦楽器が神秘的なゆるやかな旋律を奏し、次に快活なテンポに変わると、第2バイオリンが導き出す旋律を、色々な楽器が次々に追いかけるように繰り返して、変化に富んだ、華やかな明るい感じを繰り広げていく。いかにもモーツァルトらしい、明るさと美しさをたたえた曲である。

モーツァルトは、生涯に600余のあらゆる作品を残したが、この歌劇は1791年9月30日ウィーンで初演以来200回以上も続けて上演されたこと、のちにベートーヴェンが「魔笛は彼の一番優れた音楽である」と絶賛していることでも、その真価を知ることができる。 (約7分)

 

■歌劇「魔笛」より“美しい絵姿”

(モーツァルト)

“美しい絵姿”は歌劇「魔笛」幕の一場面である。大蛇に襲われた王子タミーノが、彼を助けてくれた夜の女王の待女達に女王の娘の肖像画を見せられる。その肖像画を見たタミーノが「なんと美しい絵姿」と歌う場面である。

歌劇「魔笛」は古代エジプトを舞台とした一見素朴なおとぎ話のような作品である。しかし、実際は極めて神秘的な、象徴的な内容をもっており、それを描くモーツァルトの音楽はそれらすべてをひとつのものに統合して見事である。 (約4分)

 

■歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

(マスカーニ)

マスカーニはイタリアの作曲家で、このオペラが出世作となった。カヴァレリア・ルスティカーナというのは「田舎の騎士道」というような意味で、身近な庶民生活を現実的に舞台に描き、その人たちの生々しい息吹を簡潔直截に伝え、動と静、激情と抒情とを強烈に対比させて劇的効果をより上げる手法をとっている。いわゆるヴェリズモ(現実主義)オペラを確立し、同時代の作曲家に多くの影響を与えた。幕間に演奏されるこの間奏曲は、名曲として広く親しまれ、宗教的な雰囲気をたたえた美しい曲である。 (約3分)

 

■歌劇「トスカ」より“星は光ぬ”

(プッチーニ)

「トスカ」は、プッチーニの歌劇の頂点を築いた名作として広く知られている。

舞台は1800年6月のローマ。今回はトスカの愛人カヴァラドッシが処刑の前に最後の手紙を書き、空にまたたく暁の星を眺めながら、恋人トスカと過ごした懐かしい日々を思い浮かべて「星は光ぬ」を歌うシーンを取り上げる。 (約3分)

 

■劇音楽「アルルの女」より“ファランドール”

(ビゼー)

劇音楽「アルルの女」は、ビゼーの名作である歌劇「カルメン」とともに不朽の価値を認められている。

この戯曲の劇音楽27曲の中から4曲を選んで親友のギローが編曲したものが第二組曲と呼ばれており、その最終曲が「ファランドール」である。

リズムを刻むプロヴァンス太鼓が、繰り返される舞曲の興奮をかきたてながら熱狂的なクライマックスを築き、曲を閉じる。 (約7分)

 

■コーレン・グラート(カタリ・カタリ)

(カルディッロ)

作曲のカルディッロも作詞のコルディチルロも、ナポリ出身ながらアメリカに帰化し、1911年にこのカンツォーネ・ナポリターナを創作、大テノール、カルーソーに献呈した。カタリとは、カタリーナという女性の愛称で「カタリー、カタリー、なぜそんなにつれない言葉を告げるのだ…」と恋の苦しみが歌われる。「うすなさけ」「つれない心」の邦題でも知られ、1951年のイタリア映画「純愛」にも使われた。 (約3分)

 

 

 

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