■歌劇「ルイス・アロンソの結婚」間奏曲
(ヒメネス)
ヘロニモ・ヒメネスは、スペイン独自の民族的オペレッタであるサルスエラの畑で、大家と呼ばれた一人。このジャンルは17世紀以来の歴史をもつが、19世紀の半ば過ぎから末頃にかけ、一時の衰退が嘘のような隆盛ぶりを示して、多くの人気作曲家を輩出させた。
ヒメネスの1897年の当たり作で、気のいい舞踏教師ルイス・アロンソを主人公とする「ルイス・アロンソの結婚式」に挿入したこの間奏曲は、サルスエラらしい活気、情熱、ユーモアを湛えたオーケストラ曲として、スペインでは定番になっている。 (約5分)
■グラナダ (ララ)
メキシコの作曲家の第一人者と言われたアグスティン・ララが、1932年に発表した名作。
彼の初期の作品で、力強い傑作である。譜面には「ファンタジア・エスパニョール」すなわち「スペイン幻想曲」という但し書きがついている。
題名の「グラナダ」は、言うまでもなくスペインの古都だが、この歌を書いた時、彼はまだスペインへ行ったことがなかった。そのためか、歌詞にも「この歌は幻想から生まれた」などとことわっているのが正直で面白い。
スケールの大きい曲だけに、朗々たる声と、かなりの力量を必要とする男性向きの歌である。 (約6分)