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密度は9月までは増加傾向をしめしていたが、その後は徐々に減少した。池Bでは種数、密度ともに4月29日の入水後に急速に増加した。その後、9月29日の落水までは池Aと同様の変化を示し、1999年と同じく、落水とともに急速に減少した。1回の調査における最大確認種数は、1999年には池A、Bでそれぞれ25、26種であり、2000年には32、30種とそれぞれ増加した。池Cでは、池AやBのような造成直後の急速な移入は確認されなかったが、種数は9月上旬、密度は10月まで増加傾向を示した。また、最大確認種数は14種と低かった。水路では、種数は1999年には9月上旬、2000年は8月中旬、密度は両年ともに9月上旬まで増加傾向を示した。最大確認種数は1999年には26種、2000年には29種と池A、Bと同様に増加した。

次に、各調査区で優占していたコウチュウ目、カメムシ目、トンボ目の3目について季節消長を解析した(図1-7)。コウチュウ目は、1999年には池A、Bの両調査区で造成直後に種数、密度が増加したが、5月下旬をピークに6月下旬まで減少した。その後、コウチュウ目の種数、密度は9月中旬まで増加を続け、池Aではそのまま安定して推移し、池Bでは9月29日の落水とともに減少した。2000年には、コウチュウ目の種数、密度はともに池Aでは3月の調査開始時から、池Bでは4月29目の入水後からそれぞれ増加し、池A、Bともに5月と9月をピークとする2山型の増減を示した。種数、密度は池Bでは落水とともに減少したが、池Aでは、1999年と異なり10月中旬から急激に減少した。1999年の最大確認種数は、池A、Bでそれぞれ10種、11種であったが、2000年にはそれぞれ15種、13種に増加した。池Cでも、他の調査区と同じく6月と9月にピークをもつ2山型の推移を示したが、種数、密度ともに低く、最大種数も7種であった。水路では、春と秋にピークがあるという基本パターンは同じであったが、1999年と比べ2000年は全体的に密度が高く、7月の種数の減少も小さかった。

カメムシ目については、池A、池Bともに種数は7月上旬頃まで増加し、池Aではその後11月まで、池Bでは落水まで安定して推移した。密度は造成後すぐに増加し、1999年はその後も9月下旬まで増加傾向を示した(図1-8)。池Aでは、その後緩やかな減少傾向を示し、池Bでは落水により急速に減少した。2000年には、池A、Bともに種数はわずかに増加し、密度は逆に減少したが、1999年とよく似た季節変化を示した。池Cでは、種数、密度ともに低かったものの、10月までは池A、Bと同様の推移を示し、11月には減少した。水路では、種数は7〜8月に緩やかなピークを示し、2000年の11月下旬に減少したが、それ以外は安定して推移した。密度については、両年ともに9月までは他の調査区と同様、1山型の消長を示し、周囲の水田の落水後は1999年は穏やかに、2000年は急激に減少した。

トンボ目については、池A、Bではコウチュウ目やカメムシ目のように造成直後の移入は起こらず、密度は造成後1ヶ月以上たった6月以降に急速に増加し、その後緩やかな増加傾向が9月まで続いた(図1-9)。種数は7月上旬まで増加し、池Aではその後は安定して推移し、池Bでは緩やかな減少傾向を示した。2000年には、池A、Bの両区で1999年と比べて種数、密度ともに増加した。池Cでは、密度については、コウチュウ目やカメムシ目では造成後1年目の池Aや池Bのより低かったが、トンボ目では両区1年目より増加した。種数は、1度の調査で最大4種確認されたが継続して確認されたのはシオカラトンボ類のみであった。水路では、種数は2年とも8月まで徐々に増加し、その後減少する傾向を示した。密度は両年ともにおおむね8〜9月をピークとする1山型の増減を示した。

 

 

 

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