日本財団 図書館


優占5種は1999年にはマツモムシ、コミズムシ類、シオカラトンボ類、ミズカマキリ、ユスリカ類で全体の81.3%を、2000年にはコミズムシ類、マツモムシ、シオカラトンボ類、ショウジョウトンボ、コガシラミズムシで全体の69.0%を、それぞれ占めていた。

池Cでは、トビケラ目を除く7目34種のべ3029個体が確認され、優占5種はシオカラトンボ類、コミズムシ類、マツモムシ、アブ類、フタバカゲロウ類で全体の56.8%を占めていた。

水路では、1999年にはトビケラ目を除く7目49種のべ11272個体、2000年には8目54種のべ22096個体、2年間で8目57種33368個体が確認された。1年目と2年目の共通種数は46種で、チャイロマメゲンゴロウ、ミズアブ類、アブsp.2の3種は1999年、クロイトトンボ、アオイトトンボ、マルタンヤンマ、ケシカタビロアメンボ、チビミズムシ類、クロズマメゲンゴロウ、キベリヒラタガムシ、ホソバトビケラの8種は2000年のみに、それぞれ確認された。1999年には優占5種はマツモムシ、コミズムシ類、シオカラトンボ類、ミズカマキリ、ギンヤンマ類で全体の68.1%、2000年にはシオカラトンボ類、コガシラミズムシ、マツモムシ、フタバカゲロウ類、コミズムシ類で全体の77.3%を占めていた。

1年目と2年目の優占5種を比較すると、池Aと池Bではともに占有率は低下していたことが明らかになった。水路では、シオカラトンボ類とコガシラミズムシの密度が大きく増加しており、全体の密度、占有率ともに増加した。池Cでは、他の区で優占していたマツモムシとコミズムシ類の密度が顕著に低く、全体の密度も低かった。類似係数QSは、0.71〜0.94と高い値を示し、各調査区の種構成はよく似ていたことが分かった(表1-3)。そのなかで、池Cとそれ以外の調査区との間のQSは0.71〜0.84と比較的低い値を示した。1999年と比べ、2000年には池A、B、水路で確認種はそれぞれ増加したが、そのほとんどは数個体のみしか確認されず、実質的な構成種に差はなかったと考えられる。また、池A、Bと比べ、池Cでは確認種数は少なく、水生昆虫の水域に対する選好性があると考えられ、水域の環境が好適なら、造成後速やかに周囲の環境と類似した水生昆虫群衆が形成されるものと考えられる。

 

3. 種数と密度の季節変化

各調査区の水生昆虫の種数と密度の季節変化を比較すると、1999年には池A、Bで種数、密度ともに造成直後に急速に増加し、その後も池Aでは11月、池Bでは9月25日の落水まで、種数、密度ともに増加傾向を示した(図1-6)。2000年には、池Aでは5月上旬まで種数は急激に増加し、7月と10月に減少した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION