日本財団 図書館


第1章

山間部の休耕田を利用して造成したため池とその周辺の水生昆虫群集の時間的変移

石井実・馬場直人・向井康夫

(大阪府立大学大学院農学生命科学研究科応用昆虫学研究室)

本章では、大阪北部の山間部に造成したため池およびその周辺の水路において水生昆虫の遷移について調査を行った。

 

調査地および方法

1. 調査地

調査地は大阪府能勢町長谷にある棚田群の上部(標高約350m)に設定した(図1-1、写真1、2、3)。1999年5月8日に放棄され湿地化している棚田の上部の一段に水路や畦を整備して面積約50m2と約30m2の2面のため池(以下、池A、池B)を造成した。同様に2000年4月29日にこれらと隣接した乾燥した放棄水田に面積約25m2のため池(以下、池C)を造成した。

これらの造成したため池に成立する水生昆虫群集を評価するために、周囲に存在していた水深約30cm、幅約1mの水路についても調査を行った。この水路は流れがほとんどなく、しりげやほりあげと呼ばれるものであった。

池Bは周囲の水田の水管理にならって1999年9月29日に落水を行った。その後、2000年4月29日に入水し2000年9月24日に再び落水を行い、湿田の環境を模した。また、水路は隣接する水田で現在でも水稲が行われていたため、水田の水管理によって水位に変動があった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION