3. 森林の育成と自然の多様性
森林が伐採されると、切り株からの萌芽の成長や、アカマツのように種子から芽生えた実生の成長によって、もとの森林に再生していきます。この場合、人間が新たに苗木を植え付けて、より都合のよい森林に変えることもあります。いずれにしてもこれらの萌芽や実生、苗木が雑草に覆われて成長不良になるのを防ぐには、毎年一回、雑草類の抑制に最も効果のある夏期に下刈りしなければなりません。さら地に植林して新たに森林を復元する場合も同様です。もちろん、若木が成長して雑草よりも高くなれば、それ以後の下刈りは必要でなくなります。
その代わり、次には間伐(間引き)によって、立木の本数を調節してやる必要がります。それは、樹木どうしの生存競争によるエネルギーの無駄を省き、また森林のモヤシ化を防ぐためです。伐採後にアカマツの実生が一斉に育ったような若令林や、クヌギ、コナラの切株から出た新芽が、一斉に出揃ったような萌芽林では、特に重要な作業となります。間伐はその目的によって、以下の四つの方式で行われます。
■成長のそろった木をはやく大きく成林させる
成長の良い木を残し、成長の悪いものや、形の悪いものを間引く。残された木がほぼ等間隔になるようにする。
■二段林として管理する
高木を間伐して空いた場所で若木を育て、これらが成長した段階で残りの高木を伐採し、その場所でまた若木を育てる。
■付加価値の高い木を優先して育てる
里山林にはヤマザクラ、ホウノキ、カツラのように、家具材や彫刻・工芸材になるものが交じっていることが多いので、これら付加価値の高い木を残すようにする。