この他にも場所によってはキャンプや飯ごう炊さん、それにオリエンテーリングやフィールドアスレティックの楽しみなどもあるかもしれません。しかし、いずれもこれらは、そこに用意されたものを楽しむのが主体となります。ところが、実はまだ究極の里山の楽しみが残されているのです。その楽しみとは、以上のような楽しみの場をつくりだしたり、維持管理するための活動や作業に、主体的に参加することです。
自由な雰囲気で気楽に、自分のできる範囲で柴刈りや下草刈り、間伐、山道の補修などをするのですが、野鳥のさえずりや、谷川のせせらぎを聞きながらの作業はなかなか楽しいもので、心身ともに充実するものです。自分達が下草刈りした里山で草花の開花を楽しんだり、自分達の架けた木橋を渡るなんて、想像するだけでも愉快です。さらに、間伐材で炭を焼いてバーベキューを楽しんだり、木工に興じたり、はたまたシイタケ栽培を試みたり、落ち葉や炭を畑に鋤き込んで有機栽培を楽しんだりと、里山を核とする楽しみは、人それぞれにどんどん広がっていくのです。
里山の的確な管理によって、そこが以上のように快適で楽しい「遊山」の場となれば、それが結果的に国立公園などの過剰利用を軽減させることにつながり、それだけ自然のブナ林や高山植物群落など、自然の聖域が守られることにもなるのです。