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(2) 個別事業の成果

 

9] 里山管理指導者の養成(講座)

本講座は「里山の保全と新しい活用」に関する諸活動の基本となるもので、農業構造の変化や人手不足などによって荒廃の著しい都市近郊の里山を整備、再生、活用するための指導者を養成することを目的とするものである。

我々は1986年から「里山管理指導者の養成」講座等により多くの人材を育成してきた。中でも1995年から貴財団の補助を受け、延べ500名を超える里山保全活動ボランティアを育成し、高度な理論と技術を習得した155名の指導者を養成することができた。これらの市民ボランティアや指導者の多くは既に各地において荒廃した山林の整備活動や公園の景観管理などの活動を実施している。本年度は「里山管理指導者の養成」事業により各クラス50名(延べ150名)の受講と50名の指導者の養成を目標とし、初級57名、中級42名、上級42名、延べ141名の受講者と、雨天や積雪時などの厳しい実習を経て44名(男性33名・女性11名)の修了者(指導者)を得ることができた。

 

10] 里山・公園管理プロジェクト

本事業は里山を都市住民の「身近な自然」として計画的に確保し、これを市民の余暇活動(ボランティア)によって整備し、より自然の豊かな市民に親しまれる公園として活用することを目指すもので、子供から老人までの幅広いボランティアを育成することを目的とするものである。「里山・公園管理プロジェクト」(グループ名:五月山グリーンエコー:池田市)における市民ボランティアの育成事業は年間12回の事業計画に対し、市内外の学校やNGOからの要望が次々と持ち込まれたため、これを特別事業(自主計画事業)として取り組んだ。そのため事業回数は延べ25回の実施となった。したがって、これらの事業に参加した市民は当初目標(300名)を大幅に上回る延べ558名となった。また、1月21日に実施した成果発表会には市長をはじめ多くの行政関係者や他府県のNGOも参加し、当初目標の200名を上回る270名の出席があり、我々の5年間の実績を広く広報することが出来た。

 

3] 稲作生態系保全プロジェクト

休耕田を活用した水生昆虫の復元研究では大阪府北部(能勢町)の棚田に実験池を造成し、典型的な谷津田環境における水生昆虫等の生息環境の利用状況をマーキング調査するとともに、市街地(大学構内)にも同様規模の実験池を造成してその対比を行った。その結果、別紙報告書にある通り大都市周辺地域においても、伝統的稲作水系(水田、溜池、水路、その他)と連続する里山環境の保全及び地域の伝統的農業手法が、我が国の代表的生物群の保全に重要な意味をもつことが解明されつつある。すなわち、米の生産を目的とする以外にも多様な生物・生態系を保全する上で、我が国の伝統的農業手法による稲作の継続が重要であることがデーター的にも明らかになって来た。なお本調査の成果は今年度応用昆虫学会においても報告した。

 

(3) 事業の実施経過と実施内容

 

1] 里山管理指導者の養成(講座)

本講座は里山を整備、再生、活用するための指導者(リーダー)を養成することを目的として年間3回(夏季・秋季・冬季)の連続講座として開催した。講座は、地元林業家を含む経験豊かな講師・指導員による講義(座学)と現場実習による基礎的な技術の習得を1泊2日のプログラムに従って実施した。同時に前年度までの修了者の中から希望者を募り、炭窯の製作プロジェクトを結成し、別紙仕様の炭窯を設置した。

 

a. 実施日時

(a) 初級(夏季)講座 平成12年5月13日(土)〜14日(日)

(b) 中級(秋季)講座 平成12年11月18日(土)〜19日(日)

(c) 上級(冬季)講座 平成13年2月3日(土)〜4日(日)

 

 

 

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