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一方、各地区の公民館では、地区ごとに初盆の共同慰霊祭が行われる。位牌を並べた祭壇には、宗派が異なれば、それなりの配慮がされている。私が取材した一九九六年は人口三千人の島に三十三人が初盆を迎えた。遺族たちは、祭壇の前に座り、生前故人と関係があった人々の弔慰を受ける。しかしどの地区の公民館も、その近くに踊りツボがあるので盆踊りの賑やかさがもろに響いてくる。島ならではの美しい星空の下、死と生の輪廻、生の束の間の短さを取り巻く海の潮騒がささやき続ける。底抜けに明るい踊りの面白さに、わざわざ島外から大勢の見物人が訪れる。盆には夜遅くまで船の臨時便が出るほどである。

 

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8] 板にのせ、妊婦に扮した若者を地面に落とす寸劇

 

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9] 黒ん坊踊り

 

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10] 姫島の供養盆。公民館に並べられた燈籠

 

恐山

 

青い海、緑の山野、豊かな自然と生命力溢れる日本列島にも、こんな所があったのかと訪れる人を驚かせる青森県むつ市の恐山。日本三大霊場の一つとして知られる所だけに、岩石だらけの荒涼とした丘の連なり、無表情に静まる宇曽利山湖。

 

 

 

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