日本財団 図書館


『伊江朝睦日日記』の嘉慶十五年(一八一〇)の記事には、文躍(盆躍)に端踊(はおどり)や組踊(くみおどり)を仕組ませたとあり、嘉慶二十一年(一八一八)には「赤田村、似念仏列本寺の門にて見物いたし、私共へ見せ申心入にて、鑓(やり)、長刀(なぎなた)、弥勒、二才躍共いたし候う」とある。

似せ念仏は、鉦を叩き念仏を唱えながら踊るもので、念仏踊りと同じ意味である。

赤田村の似せ念仏を本寺の前で見物すると、鑓、長刀などの棒術や弥勒、二才躍(にさいおどり)まで演じられたという意である。

「親見世日記目録(おやみせにっきもくろく)」乾隆二十三年の項目には「盆中諸士百姓致混雑覆面ニ而歌三味線仕人家押入候儀ニ付、御禁止被仰渡候御書付之事」。

『那覇横目条目』は「似セ念佛仕候儀七月十三日夜ヨリ同十六日夜迄御免尤首里ハ各平等中那覇久米村泊ハ村中田舎ハ各間切中而可仕候喧嘩公論ハ不及申支度の儀サシ帯迄茂絹布用申間敷候芭蕉木綿之類トテ茂繪書衣致着候儀且又八月十五夜其外一向禁止申付候」とある。

「親見世日記目録」は盆中は士族百姓で混雑し覆面をした者たちが、歌三味線をし人家に押し入っているので禁止する記事である。

覆面をし、歌三味線をしながら人家に押し入るというのは、八重山のアンガマ踊りを彷彿させる。アンガマ踊りの後は、見物人たちによって踏み荒らされた庭、崩れた石垣はまるで台風一過のようであったという。

 

004-1.gif

ファーマー(子孫)歌三味線、手拍子で『無蔵念仏節』を踊るウシュマイ(翁)とンーミ(媼)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION