(3) 島における外来植生の予測される影響と対応の方向
1) 外来植生の予測される影響
モクマオウ群落とギンネム群落が在来植生に侵入すると、遷移系列が正常遷移から偏向遷移に変化する。そのため遷移の停滞がおこり、長期間にわたり空間を占拠し、質的変化がおこらなくなる。質的変化がないから群落の種の多様性は貧弱である。このような性質をもった群落は生態学的にも景観的にも評価が低い。
2) 対応の方向
偏向遷移の性質をもった外来植生は、在来植生にとっては植物社会の秩序を守らないから、極めて厄介な存在である。ここにおいて、生態学の法則に従って、在来植生を偏向遷移系列から人為的手段で解放すべきである。モクマオウ群落の除去については伐倒方法が最善だと思われる。ところがギンネム群落の駆逐法には伐倒や抜根方法もあるが、一方植物を植えて植物を除去するという(食うものと食われるものの関係、これは植物では制圧という)生態学的方法もある。この生態学的方法とは植生遷移の法則を応用することである。陽性のギンネム群落は陰性環境下に置かれると衰退していくことが知られている。これだけの情報からも植生遷移の法則を応用する計画が組み立てられる。