b. 低地部の植生
・屋敷林
現在集落の形成されている所は、潜在的には海岸林を成林させる所でありながら、東西に直線的に開放された低い地形であるため、古くから各屋敷の周りには防風林をかねた屋敷林が発達していた。最近コンクリート建を新築する家庭が多くなり、一部の屋敷林は取り壊されて、コンクリートの塀に変わっている。フクギをはじめ多くの植物が利用されている。高木としてオオバキ、オオハマボウ、アカテツ、ガジュマル、シマグワ、チシャノキ、ギョボク、テリハボク、イヌマキ、アカギ、センダン、イスノキなどで、低木としてオオシマコバンノキ、ゲッキツ、ヒレザンショウ、オオムラサキシキブ、シマヤマヒハツ、イボタクサギなどでこれらの種類の多くは主に海岸林や低地林の主要な構成種であり、屋敷林として利用されている植物の種類からみても集落部が海岸林域である事が解る。また、外来種のモクマオウ、ブッソウゲなども利用されている。
・耕作地の雑草
集落に続く低地部は一部放棄畑になっている所も見られるが、大部分は耕作地として利用されている。これら畑地で見られる雑草の主な種類は、ザラツキエノコログサ、エノコログサ、シマニシキソウ、カタバミ、オニタビラコ、ホウキギク、メヒシバ、ルリハコベ、スベリヒユ、ヤブジラミ、ハマスゲ、ホウライツユクサ、ハルノノゲシ、ヤエムグラ、クリノイガ、イトアゼガヤ、タチスズメノヒエ、オヒシバ、ツクシメナモミ、タツノツメガヤ、アオビユ、ハイキビ、マメグンバイナズナなどである。出現種を検討しても沖縄の他の島々の砂質性の畑地雑草と変わらないようであるが、ただ、沖縄本島で非常に多いムラサキカタバミが少ない。