6-4 組織運営計画
浮野の里の農村景観や自然環境を保全・管理しながらこの価値を伝えていくには、実践活動を担う恒常的かつ安定した組織が不可欠となる。当地域は特殊な場所ではなく、ごく普通の生活空間である。したがって、ここがどんなにすばらしいところであっても、営造物公園のように、公共機関が完全に管理することはできない。そこで注目されるのが、市民によるボランティアパワー「浮野の里・葦の会」の存在である。すでに見てきたように、葦の会はこれまで精力的に活動を展開し、さまざまな成果を上げてきた。しかし、超長期的にみれば、いまあるようなエネルギーが将来まで継続するという保障はない。このような心配は、ボランティア組織の宿命であるかのようにつきまとう。この心配を払拭するためには、行政との関係密度をより高めながら、組織強化を図っていかなければならない。
1) 行政と葦の会の連携と役割分担
(1) 協議会の設置
行政と葦の会の連携を確実なものにするため、議会の代表や行政の関係セクションを交えた協議会を設置する。この協議会は合意機関とし、葦の会の活動方針や活動計画は、基本的には協議会の合意を経て実施することになる。これにより、活動の自由が多少束縛されることもでてくるが、手続きを通すことで行政は動きやすくなり、相互の循環もスムーズになるのである。
(2) 役割分担
このような活動では、行政ができる部分とできない部分があり、同じように、葦の会ができる部分とできない部分がある。あたりまえのことだが、この関係をはっきりと色分けすることが、役割分担の出発点である。それでも明確にならない部分については、試行錯誤で明らかにしていけばよい。このなかで、行政主体の事業費、地域資源の保全・管理や施設の運営など、葦の会の活動に関わる経費などの捻出は、行政のもっとも重要な仕事である。
活動の役割分担として想定されるものは、行政は、当地域を環境保全区域に指定したあとは、制度の運用により当該区域が適性に保全されるよう誘導する業務、浮野の里の整備に関わるハード事業の実施など。葦の会は、地域資源の保全・管理、センター施設の運営、体験活動やイベントの企画・運営、資料作成といった利用促進活動などである。