3 浮野の里の市民活動と保全・整備の現況
3-1 市民活動の経緯
1) 「美しい村づくり委員会」の発足
時代の変化とともに、浮野の里地域でも農業を取り巻く環境が変わりはじめ、農業従事者の高齢化や後継者不足などの影響で耕作放棄地も増えつつあった。そんななか、当地が東北自動車道加須インタチェンジに至近であることから、産業廃棄物、建築残土などの処理地として注目され、埋め立て業者の出入りが激しくなってきた。
こうした状況に危機感をもった地域の住民は話し合いの場を設け、対応策を練った。そこで、地域の財産ともいうべき自然豊かな農村景観や地域の自然環境を守りながら、これらの遺産を後世に伝えるとともに、快適で活気に満ちた地域づくりを進めようという結論に達し、平成2年3月、北篠崎地区自治会(住民50名)が中心となって、その推進組織として「美しい村づくり委員会」発足させた。
2) 「美しい村づくり委員会」の活動
委員会はさっそく、埋め立てを計画している業者や土地を提供しようとする地権者に環境保全のための協力を訴え、埋め立て中止の方向を導いた。これを契機に、地域づくりの活動を積極的に進めるようになり、以下のような活動を展開している。
平成2年
・環境整備事業の一環として、ちりじ野に接する農業用排水路沿い約250mにわたってサクラ40本を植栽。以後、毎年4月「桜まつり」を開催。
平成3年
・田堀の活用として、「つり大会」を開催。浮野の里のよさをPR。
平成4年
・加須市主催「花のイベント」に参加。休耕田に菜種を播種。
〜5年
・ちりじ野で田舟漕ぎを実演。浮野の里の自然と魅力をアビール。農産物等の直売も(収益金はみどりのトラスト運動へ寄付)。
平成5年
・クヌギ並木遊歩道沿いにハナショウブを植栽。浮野の里の魅力向上を図る。
平成6年
・郷土意識や連帯感を高めるとともに、浮野の里をPRするため「あやめ祭り」を開催(以後、毎年6月に開催)。ハナショウブの鑑賞、田舟漕ぎの実演と遊覧、農産物等の直売を実施(収益金はみどりのトラスト運動へ寄付)。
・休耕田にハナショウブ約800株を植栽。来訪者に憩いとうるおいの場を提供。
・クヌギ並木遊歩道沿いでシイタケを栽培。地域のPRを兼ね来訪者に提供。