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このような自然が身近に残されていることは、いかにこの地域の環境が良好な状態で保たれているかを物語っている。

 

2-3 文化資源

 

【愛宕神社】 北篠崎、多門寺およびその周辺地区の鎮守であり、心のよりどころでもある。「愛宕神社のささら」という伝統芸能が受け継がれている。

【斎藤与里記念公園】 日本洋画壇の巨匠である斎藤与里の生家跡が、記念公園として開放されている。与里はまた、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなど後期印象派の新傾向の絵画を日本にはじめて紹介し、絵画史のうえでも大きな役割を果たした。晩年はこの生家で画業三昧の生活を過ごし、「晩秋の赤城山」をはじめ、牧歌的で詩情豊かな日本的洋画の完成をみた。今は住宅はないが、屋敷林に囲まれた静かな空間が印象的だ。

【あやめ祭り】 6月も梅雨どきになると、ちりじ野の風景が一変する。「浮野の里・葦の会」で育てた花菖蒲園の花が一斉に開花するためだ。クヌギ並木を背景に田堀と花菖蒲の群落、ほどよくまとまったこの三位一体の景観は、絵のような見事さである。さらに葦の会主催による「あやめ祭り」当日は、すげ笠姿の女船頭さんが田船を漕ぎ、この風景を一層あでやかに飾る。新たに創出されたイベントとはいえ、地域に根づいた文化活動として定着している。いまや加須の風物詩となり、この一時期、浮野の里を代表する景観のひとつにもなった。

 

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写真2-17 加須の風物詩となった「あやめ祭り」が文化的な景観を創出した

 

 

 

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