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次に国際コンベンションですが、国際会議の開催は1999年で2,400件ありました。都市別にみると世界の12位です。大都市開催が多いのですが、地方都市のメリットは開催費用が低廉である。会場費、宿泊、パーティー、アクセスの至便、落ち着いた雰囲気の中で会議に集中できる。さらに地元文化との触れ合いもできることが指摘されます。デメリットは知名度の低さ、世界からの直行便に問題があります。

最後に九州の観光誘致の問題点ですが、福岡空港におけるインバウンドは大体30万人程度です。実は、九州は先進地域でしたが1997年をピークに来訪者が減りました。多いのは韓国、台湾、香港、中国、アメリカの順。訪問地は福岡県が圧倒的に多く長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、佐賀の順です。誘致活動の問題点は各県が類似の宣伝を行っており、差別化をしたツアーが組みにくい。各県バラバラにやる2点が指摘されます。やはり外国人を呼ぶには、日本の観光地がグローバルスタンダードにならなければいけない。今後の大事なポイントでそれに合った体制をとっていく必要があります。

 

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コンベンションについて講演する向山会長

 

パネルディスカッション

「南九州における国際観光振興」〜サミット効果の継承と発展〜

 

パネルディスカッションは佐藤寿美NHK宮崎放送局長がコーディネーターとなり、足木孝外務省総合外交政策局国際社会協力部国連行政課企画官、江渕京太郎ホテル神田橋代表取締役社長、北出明国際観光振興会国内誘致部長、山本節子ザ・プロトコール代表取締役をパネラーとして、さらに南九州WAC21の地方専門委員の中馬章一、佐藤誠、大西茂の3人が加わりました。

コーディネーターの佐藤氏は、まず進め方について1つは昨年のサミット外相会合のもたらしたもの。同時にどのような課題を感じているのか。2つ目は国際会議をはじめとするコンベンションを進めていくうえで重要なこと。最後に南九州の観光をどういうふうに売っていくのかを考えていきたいと説明、参加者からの発言を求めました。

まず、なぜ宮崎がサミットを誘致できたのか。地方専門委員から南九州3県の広域連携があったことが強調されました。そして、基盤整備、ソフト蓄積、人材育成等に成果があり、今後の展開方策について、現在副知事を先頭にポストサミット検討委員会で検討が進められているとの発言がありました。また、県民の温かいもてなしや二国間会議、急な会議での対応も喜ばれ、さらに地域の伝統文化は強い印象が残ったといわれています。こうした実績をベースに、今後大いに宣伝をし、全力で誘致に取り組んでほしいとの期待が寄せられました。

今後の動向では中国や韓国に目を向けて2国間会議、あるいは団体・企業会議の誘致もするべきとの提案も行われました。とくに具体化方策では官民一体となった誘致活動、マーケティングが必要とされ、魅力あるアフターコンベンションへの取り組みも指摘されました。そして、外国人が求めているものは、日本の歴史とか伝統、その中で「神話の国」が1つのテーマになるとの発言もありました。一方、原点に戻って、相手国をしっかり分析し、受け入れの改善、地域とのコミュニケーション、三県をテーマにした新しい観光ルートの開発などが必要と提案されました。

 

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地方専門委員も加わったパネルディスカッション

 

意見交換会

 

【佐藤】それではサミット後のコンベンション誘致や観光振興をどういうふうに進めていけばよいのか。ご意見を拝聴していきたいと思います。

【舩山】4点申し上げます。1つは宮崎県および宮崎市がコンベンションを観光戦略の軸にしている方向は正しいのではないか。2つ目はコンベンションシティとしての格です。これは、サミットを契機にレベルが高まったのではないか。ハード・ソフト両面において何ら問題ないと思います。今後大いにセールスしやすいということも申し上げておきたい。

 

 

 

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